前回の続きです。
丹田と言えば、一般的には臍下丹田(下丹田)のことですが、下丹田と上丹田、中丹田の3つの丹田があることを前回の投稿で書きました。
その中、あまり知られていない中丹田についてですが、中丹田には心身の機能を高める3つの効果があります。
まず、一つ目の効果が、中丹田を作ると胸郭の動きが良くなり呼吸が深くなることです。
呼吸が深くなるとまず心拍数が下がります。
そして、呼吸によって体内の熱が適度に出されます。
なので、中丹田の熱気が発せられるのであれば、体内の熱が放出されるからだと考えます。
ということは、他人からは情熱を感じるけれど当人は冷静でいられるという精神状態になると考えられます。
また、中丹田について「心臓の働きを司るために熱気を発して、それが頭に上がる危険性があるが、下丹田を作ればその危険性が少なくなる」という説を唱えている人もいます。
ですが、熱気が頭に上がる危険性については東洋思想やインドの第4チャクラの働きとしても言われておりません。
そして、私の検証した結果、中丹田に熱気による危険は確認しませんでした。
むしろ胸郭が効果的に働いていたら熱気がこもることなどありえません。
なぜならば、呼吸によって体に熱がこもらないように調整しているのが胸郭だからです。
なので、胸郭に位置する中丹田が作られることで体内の熱をうまく逃して熱をこもらないようになるので熱気を放出して冷静さを司っていると考えた方が素直です。
ただ、体を整えずに中丹田に意識を作ろうとすれば、胸郭の動きが悪く呼吸が浅くなり、心拍数が上がり、呼吸によってうまく熱を出すことができずにおなかが冷えて頭に熱気がこもり(自律神経のバランスが崩れるため)このような危険性があるかもしれません。(偏差の一種)
このような危険性を回避する意味でも、中丹田を作る前に下丹田を作った方がいいというのも一理あるのかもしれません。
ですが、しっかりと胸郭をはじめとする全身の動きを整えれば、このような事態になる心配はないと考えています。
二つ目の効果は、中丹田を作ることで身体機能が活性化されることです。
この理由の一つに、中丹田の位置する胸郭には肩甲骨が着いていて腕につながっているため、中丹田が作られることで腕の動きが良くなることです。
ですが、そればかりではなく、実は、脚の動きも良くなります。
人間は二足歩行をしているので脚のみで歩いているように考えがちですがそうではありません。
脚を円滑の動かすために腕がバランサーになっているのです。
例えば歩く時に、右足を前に出そうとすると左手が前に出るのは腕がバランサーになっているためです。
そして3つ目が、中丹田が作られることで身体の自分軸(全身の骨の垂直抗力)が強化されることです。
身体の自分軸とは、武術でいう正中線、クラッシックバレエなどではセンター、スポーツなどでは体軸と呼ばれるもので、体の重心と地球の重心とを結ぶ重心線上にある下から上に働く垂直抗力のラインのことで、背骨の周りを通る全身の骨の垂直抗力で、重力に逆らう下から上に働く力です。
下丹田は内臓の位置をコントロールすることで重心を安定させる働きがありますが、中丹田は背骨を軸にして肋骨を中心に上半身を脱力させて下に落とす働きがあります。
肋骨を落とすと上半身の体重が体の重心に乗り、この延長線上にある背骨に荷重がかかり、全身の垂直抗力が強くなります。(武術でいうところの「沈身になり浮身を使う」状態)
そうすると、脚を動かす時に体がブレなくなり、脚の力を腕に効率よく伝えることができるようになります。
臍下丹田が作られると体が重くなると言われていますが、これは、腹腔内の内臓の位置をコントロールすることができるようになることで重心がブレにくくなるからです。
それに対して、中丹田によって体が重くなるのは、肋骨を中心に体幹と上肢の荷重が下に向けて落ちやすくなることによるものです。
一説で言われているように熱気が上がり気分が高揚することはなく、むしろ心が落ち着くように働くことが考えられます。
中丹田の効果についてまとめると、
- 呼吸が深くなる
- 自律神経のバランスが整う
- 物事に囚われにくくなり前向きな気持ちになる
- 人とのコミュニケーションを築きやすくなる
- 腕の動きが良くなる
- 脚の動きが良くなる
- 正中線(全身の骨の垂直抗力)が強化される
- 熱気が放出されつつ自身は冷静でいられる
などです。
このことから、中丹田を作ることで心身の機能が高められるためパフォーマンスUPに欠かせない重要な要素になると考えております。
中丹田のワークは、脱力トレーニング「丹田トレーニング」にて行っております。