SNSやブログなどのサイトを見ていますと、巻き肩という言葉を目にします。
私は、指圧の学校で解剖学や生理学など基礎医学の勉強をしてきましたが、初めて聞く言葉です。
よくよく調べてみると、猫背によって肩甲骨が前に出て肩関節が内旋した状態のことだとわかりました。
猫背に巻き肩が肩こりの原因のように言われているようですが、医学的には肩関節がやや内旋気味でも問題なく、むしろ自然な位置だと思うのです。
もちろん、極端に肩関節が内旋していると問題ありますが。
この巻き肩、猫背が悪いというのに対して、巻き肩、猫背が正しい姿勢だという正反対のことを言い始める人もいるようです。
そしたら、どっちが正しいの?
ということになり、情報を受け取る側も混乱してしまいます。
体のこともですが、食についてもこのようなケースは多いように思います。
では、私の見解です。
背筋は伸ばした方がいいと思っています。
だって、猫背で肩が前に出ている姿勢ってカッコ悪いでしょう。
ですが、細かい作業をする時やデスクワークをする時には、少し背中を丸めて肩を少し前に出した方が自然です。
その方が、腕を動かしやすいからです。
だからと言って、立っている時や歩いている時に猫背で肩を前に出す姿勢は不自然です。
姿勢って、正しいとか間違いというのはないのです。
動作に応じて最適な姿勢はあり、それが自然な姿勢です。
よく、巻き肩や猫背を背筋を伸ばした姿勢に矯正したら肩こりが緩和したとか、背筋を伸ばした姿勢を巻き肩や猫背に修正したら肩こりが緩和したとか、と言いますが、どちらも本当だとは思います。
このカラクリは、普段取らない姿勢に修正することで普段緊張しぱなしの筋肉が一時的にゆるむからです。
ですが、このような施術というものは一時的な効果しかありません。
だって、姿勢を作っているのは、日常生活を記憶している脳のプログラムなのですから。
そのプログラムを解除しない限り、すぐに元の歪みに戻ってしまうのです。
なぜ、元の歪みに戻ってしまうのか?
重力によって体(体幹部)が押し潰されてしまっているからです。
では、なぜ押し潰されるのか?
体幹部を支える働きをする腹横筋や多裂筋、腸腰筋などのインナーマッスル(深層筋)がうまく働いていないためです。
体の歪みが脳に強くプログラムされてしまうと、これら体幹部のインナーマッスルが働きにくくなります。
このことで、重力に抗することができなくなり、押し潰されてしまうのです。
一般の人は、施術で骨格を矯正できないということを知りませんので、施術を受けて肩のコリが緩和したら良くなったと勘違いしてしまいます。
まあ、そうやって勘違いさせて、「先生に施術してもらわなければ良くならない」と依存させることでお客さんをリピートさせるのが、この手の施術系のビジネスの常套手段ではあるのでしょうけど。
体の歪みを作っている脳のプログラムを書き換えれるのは、自分自身。
歪みを改善して体幹のインナーマッスルを鍛えることも自分自身。
それが、真実です。
ただ、施術が無意味という訳ではありません。
施術を受けた方が良いケースだってあるからです。
本当の施術というのは、症状を取り去ることではなく、体の歪みを作っている脳のプログラムを書き換えるための手助けと助言(アドバイス)を行いながら、自身で治ろうとする力(自然治癒力)を引き出していくことだと思うのです。
人それぞれ、体質によってアプローチの仕方か変わります。
私自身も、
身体に意識を向けているのか?
などと、自問自答を繰り返しております。