臍下丹田とは?

丹田、ここでは臍下丹田のことですが、臍下丹田=腹筋=呼吸法のような認識なように感じます。

 

結論から言いますと、臍下丹田は腹筋でもありませんし、呼吸法でもありません。

 

確かに呼吸法を行うと丹田が強化されます。

 

ですが、呼吸法を行ったからと言って丹田が作られる訳ではありません。

 

特に、おなかに力を入れるような腹式呼吸では逆立ちしても丹田を作ることなどできません。

 

臍下丹田の位置が下腹部の周囲にあると言われていることからなのでしょうが、これは誤認であり誤解です。

 

臍下丹田とは、臓器や骨格、筋肉そのものではなく、「骨盤と下腹部周囲の器官の働き」であり、丹田の感覚は、この働きを感じる「感覚意識」だと解釈できます。

 

このように考えると、腹筋の働きも臍下丹田の一つだと言え、腹筋が臍下丹田とはまったく関係がない訳ではありません。

ですが、我々が意識して動かすことのできる腹筋は、腹直筋、外腹斜、内腹斜筋など表層の腹筋です。

 

それに対して、体を動かしていない時でも体を支える働きをしている腹筋は腹横筋という腹筋の中でも深層の筋肉(インナーマッスル)で、意識して収縮できない筋肉です。

 

腹横筋は体幹に対して垂直に走行している筋肉で、丹田の感覚が得られている時にメインに働いています。


意図的に腹横筋を収縮させようとすると腹横筋ではなく腹横筋よりも表層に着いている外腹斜筋や内腹斜筋が優先的に収縮してしまいます。

 

腹斜筋は肋骨と腸骨(骨盤の骨)に着いている筋肉で、胸郭を回旋(ウエストを捻る)する時に働く筋肉で、両側同時に働くと胸郭を屈曲(前かがみになる)させます。

 

もし、丹田が作られた状態で体を動かすのであれば、腹横筋と動きに合わせて腹斜筋も同時に働きますが、丹田ではなく腹筋に意識が向いてしまうと左右の腹斜筋が同時に働き前かがみの姿勢を取るように動き、無意識のうちに背筋を伸ばそうとして背筋に力が入り、全身が緊張してしまい、骨盤周りの感覚意識が薄くなるため丹田の効果である精神の安定が得られなくなります。

 

呼吸法に限らず、すべての身体動作において特定の筋肉に意識を向けようとするとインナーマッスル(深層筋)ではなく、その周辺のアウターマッスル(表層筋)が収縮してしまい、動きのバランスが崩れ、結果的にパフォーマンスが落ちてしまいます。

 

ですので、丹田を作る時に、腹筋に意識を向けてはいけません。

 

では、具体的に、どのようにすればいいのでしょうか?

 

まず、丹田の感覚を得ることです。

 

この方法の一つに、「下腹部に手を当て続ける」ことがあります。

 

そうするうちにだんだん下腹部の内部が暖かくなってきます。

 

さらに手を当て続けていると腸が動き始めてきます。

 

この感覚が、丹田の感覚意識です。

 

寝る前に行えば、冷え性の人などは体が温まり寝つきが良くなって、このことで、体の回復力が高まりアンチエイジングの効果が期待できます。

 

ですが、この方法は、手を当てている時限定の方法なので丹田を用いた身体操作法を行おうとするのであれば不十分です。

 

では、起きている時でも常に丹田の感覚を得るためにどのようにすればいいのでしょうか?

 

次回の投稿で書きたいと思います。