前回の続きです。
手を当てていることで丹田の感覚意識を得ることができ腸の働きが活性化されますが、丹田を用いた身体操作を行おうとするのであれば不十分です。
かと言って、常に臍下丹田に意識を置き続けることはとても大変ですし、今度は頭の力みにつながり気功でいう偏差(自律神経失調症や精神疾患)を引き起こしてしまう恐れがあります。
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偏差が起こる大きな原因は、身体のバランスが整えていない状態で気(イメージ)をコントロールしようとして頭に血が溜まり、このことで内臓の気血が不足して気血(自律神経)バランスが崩れることです。
このことが丹田を会得することを難しくしています。
そこで大田式調整動作®︎では、骨盤についている腸骨の動きに注目しました。
骨盤は仙骨という背骨の骨と腸骨をいう骨がドッキングしたものです。
仙骨と腸骨との間には仙腸関節という関節があります。
関節と言っても靭帯によって強く結びついており、ほんの数ミリの隙間しかなく医学的には動かない関節と言われています。
その反面、わずかに動いているとも言われ、わずかに動くことで下肢のスムーズな動きに貢献しているとも言われています。
私の指圧の臨床でも仙腸関節のわずかな動きを確認し、腰痛などの方は仙腸関節の動きが悪くなるケースも確認しています。
このような方は、仙腸関節の動きを正常に戻すことで痛みが解消されます。
身体操作で活かされる丹田を作るためには、まず腸骨を動かすワークを行い仙腸関節の動きを整えることです。
そうしてから、次に丹田を作るワークを始めます。
丹田を作るワークを繰り返し行ううちに、腹横筋が働く感覚とともにおなかが暖かくなる感覚、そして腸が動く感覚が表れてきます。
これが丹田の感覚意識です。
そして、自然と呼吸が深くなり、呼吸を感じるようになります。
丹田が作られると呼吸が深くなるのは、腸骨の動きが呼吸に深く関わっているからです。
腸骨が動くことで胸郭が連動して動きます。
ですので、腸骨の動きが良くなれば胸郭の動きが良くなり、呼吸が深くなります。
このように、筋肉ではなく骨の動きに意識を向けることで、余計な筋肉の力が抜けて必要な筋肉が使われるようになり、骨盤の両側にある股関節の動きが良くなります。
そうなると、筋肉が満遍なく使われ、全身の血行が良くなって内臓に行き渡ることで内臓の働きが良くなり、自律神経のバランスが整って精神的に安定します。
丹田を用いた身体操作を行うため必要なのは腸骨であり、決して、呼吸ではありません。
ちまたで言われている丹田呼吸法は丹田の強化法でありますが、丹田の会得法ではありません。
大田式調整動作では、まず身体のバランスを整えることから始め、その上で腸骨の動きのバランスを整えてから臍下丹田を作る脱力トレーニング「丹田トレーニング」を行なってっております。
このことで、偏差(自律神経失調症や精神疾患)を防ぎながら、身体動作の面でも精神面でも効果のある丹田の会得することができると考えております。
丹田には、臍下丹田の他に上丹田と中丹田があると言われています。
次回の投稿では、上丹田と中丹田についても述べていきたいと思います。