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脳のバグ(誤作動)をおこす変性意識

変性意識とは、非日常的な意識状態のことを言い、特別な修行を行うことで得られる特殊な意識状態とも言われています。

 

以前、アメブロで取り上げた催眠も変性意識の一種(意識の狭窄)です。

 

ですが、近年、変性意識は日常的に誰にでも起きているとも言われるようになりました。

 

例えば、

  • ボーといる時
  • 考えごとをしている時
  • 想像(イメージ)を膨らませている時
  • テレビや動画を見ている時
  • 何かに気を取られている時
  • 普段では考えられないような凡ミスをおかした時
  • 未来に不安を感じる時
  • 過去にあった出来事を思い出している時

などです。

 

思い返せば日常的なことなように思います。

 

これは発達しすぎた人間の脳特有の機能によって起こる誤作動(バグ)なのかもしれません。

 

もし、人間以外の動物で変性意識に入りボーとしていたら、草食動物だったら外敵に狙われ、肉食獣であれば獲物を取り逃がしてしまうでしょう。

 

人間だから生きていけるのです。

 

人間は、発達した大脳新皮質によって、あらゆるものを想像することができます。

 

これが変性意識なのでしょう。

 

これによって、多くの物を発見し発明することで巨大な文明を作り発展させてきました。

 

その反面、変性意識によってマイナスなイメージも容易に作り上げてしまうというデメリットもあります。

 

人が精神的ストレスに苛まれるのも脳内で生じたイメージによるものです。

 

このようなマイナスのイメージに感情を司る大脳辺縁系が反応すると、ストレスと感じます。

 

大脳辺縁系には外の世界で起こっているストレスなのか?脳内で起こっているストレスなのか?を識別することができません。

 

なので、脳内で作られるイメージに反応してしまいます。

 

本来は、このようなストレス反応は外敵に対するためのものですが、人の持つ大脳新皮質の高度な機能によって、辛い過去の記憶や、見えない未来をイメージすることで、あたかも、今現在、起こっていることのように反応してしまうのです。

 

その上、脳内で作り上げられたイメージは消えることなく脳内に留まるため、大脳辺縁系による警戒態勢は解かれることがありません。

 

この特異な変性意識状態によって、人は悩み苦しみを感じ続けることともなり、これが心身症や精神疾患を引き起こす大きな要因であると考えます。

 

このように考えると、精神的ストレスの原因の多くは変性意識に原因があると言えます。

 

ただ、変性意識にも深いものから浅いものまで様々あると考えています。

 

例えば、日常的にボーとしてしまう変性意識はごく浅いものです。(すぐに我に帰ることができる状態)

 

そして、過去の記憶や未来の不安などに囚われてしまう時の変性意識は、それよりも深いと考えられます。(我を忘れた状態)

 

さらに変性意識が深くなると、逆に、不安や恐怖、怒りなどに囚われなくなり、心身ともにリラックスすると言われており、これが良く言われる催眠状態です。(我をなくした状態)

 

このように、変性意識と言っても、深さによってに差があります。

 

また、宗教の修行などで行われる瞑想には、意図的に深い変性意識(催眠)状態に入ることで、マイナスな感情がなくなったり、超常的な能力を身につけることができるようになるとも言われており、能力開発で行われている催眠技法などは、このような目的で行われています。

 

不安や恐怖、怒りなど人間社会を生きていく上でデメリットになるマイナスの感情を払拭できる上に、超常的な能力まで開発できるのだからとても魅力的だと思います。

 

しかし、その過程で自律神経失調症や統合失調症などを患った人が多いことは無視できません。

マインド(心)をコントロールされる変性意識

宗教の修行などで行われる瞑想には、意図的に深い変性意識(催眠)状態に入ることで、マイナスな感情がなくなったり、超常的な能力を身につけることができるようになるとも言われてます。

 

このことはとても魅力的に感じるかもしれません。

 

しかし、その過程で自律神経失調症や統合失調症などを患った人が多いことは無視できません。

 

ここで、深い変性意識状態について紐解いていきたいと思います。

 

深い瞑想や催眠状態(深い変性意識状態)に入ると体の力が抜けると言われている。

 

しかし、変性意識が浅いと、かえって、体が緊張してしまいます。

 

変性意識状態とは、何かに気を取られて自意識が弱くなる状態のことです。

 

この時、気を取られる物事や人に体の重心が移ってしまうため、体のバランスを取るために筋肉で体を支えることで体の歪みが強くなります。

 

しかし、深い変性意識状態に入るためには脱力する必要があります。

 

変性意識状態では体の歪みが強いため、意図的に脱力することはできません。

 

しかし、何かに寄りかかるものがあれば体が歪んでいても脱力することができます。

 

例えば、ソファーなどに腰掛ける時や壁に寄りかかって立つ時などです。

 

心理的に寄りかかるものがある時にも脱力することができます。

 

人は指図を受けたくないという思いが強い反面、楽な方に流される面もあります。

 

何かに寄りかかる生き方の方が楽に感じるのは、体の力を抜きやすいからです。

 

このことを利用したのが、自己啓発セミナーなどで行われているマインドコントロールなのです。

 

マインドコントロールのように他者から誘導される他者催眠の方が深い変性意識に入りやすいのは、他者に身を委ねることで体の力が抜けやすくなるからです。

 

また、他者催眠をかける際、集団でかけるとかかりやすくなります。

 

これは、集団になると集団意識が強くなり自意識が弱くなるからです。

 

集団の中に入ると警戒心が解けることと、集団の中で同じ動作などを行われる時、その動作に合わせようとするのが人の心理であり、これが人の持つ集団意識です。

 

周りに気を取られ自意識が弱くなることで変性意識に入りやすくなります。

 

ただ、他者催眠はすぐに解けてしまうため、深い変性意識状態に入り続けることが困難であり、すぐに解けてしまいます。

 

また、変性意識によって過去のネガティブな記憶が思い出される人もおり、このような人は催眠によって心身の不調をきたす場合もあるようです。

 

催眠の技法を使えば、過去のネガティブな記憶を書き換えることも可能だと言われていますが、その時の感情は消すことはできないため、突然フラッシュバックを起こす危険性も考えられます。

 

このような人は、自己啓発には向きません。

 

自己啓発に向く人は、比較的心の傷が少ない人でしょう。

 

そうして、セミナーを受け続けることで他者催眠とプラスの暗示によって変性意識状態になる感覚が刻み込まれます。

 

そうするとドーパミンによる多幸感により気持ちがポジティブになります。

 

そうしてから自己催眠の手法を教えてもらい、実践するうちに自らの意思で深い変性意識に入れるようになります。

 

深い変性意識状態(催眠)に入ると自己暗示(アファメーション)の効果が高くなり、自己実現を行いやすくなるのが、自己啓発のカラクリなのです。

 

ただ、このような手法は、内臓の働きを弱めることになり心身に大きな弊害がもたらされることを知る必要があります。

瞑想の危険性

自身の意思で深い変性意識(催眠)状態に入るために行なれているのが瞑想です。

 

そのためには、意図的に体の力を抜いていく必要があります。

 

深い変性意識に入るために手取り早いのがドラックですが、これは違法であり、心身に大きな負担を強いて精神と肉体をボロボロにします。

 

意図的に脱力して変性意識に入る方法が瞑想だったのです。

 

ここで、一つのポイントがあり、瞑想は、座って行います。

 

なぜ、座るのか?と言いますと、体を安定させるためです。

 

人が深い変性意識(催眠)状態に入る時、体が揺れはじめます。

 

立って行おうとすると揺れで体を支えられなくなり、倒れようとしないように意識(顕在意識)が強く働くため深い変性意識に入ることはできません。

 

そうであれば寝て行えば体を安定しそうですが、今度は意識(顕在意識)が全く働かなくなり、そのまま寝てしまい(これが健全な身体だと思う)、変性意識状態に入ることができません。

 

なので、瞑想に限らず、呼吸法も座って行うことが一般的なのは、変性意識に深く入るためだと考えられます。

 

具体的に述べれば、座ることで地面と接する面積が広くなり、体を支えるために高度なバランス感覚を必要としないので体が揺れにくくなり、姿勢が安定するため脱力しやすくなるので安心して深い変性意識(催眠)に陥りやすくなります。

 

また、体の歪み、細かく言えば体幹部の捻れによって体が固定されます。

 

もし、体の歪みが少なければ、関節の動きが良くなります。


関節の動きを制御するために筋肉を細かく動かしてバランスを崩さないようにする必要があります。


そうなると姿勢制御のために顕在意識の働きが強くなり、変性意識に入ることができなくなります。

 

なので、体の捻れが深い変性意識のポイントになります。

 

その上で、座ることで体の安定度を高めることで安心して脱力することができ、深い変性意識状態に陥ることができます。

 

また、深い変性意識状態に入るために大切なことは、安心安全を確保できる場所で行うことです。

 

変性意識状態とは、感覚意識が薄らいだ無防備な状態です。

 

人は、安心と安全が確保できない場所では顕在意識が強く働き、このような状況では変性意識の入り込む余地がありません。

 

お寺(禅寺)が人里離れた所に多いのは、このためだと思います。

 

今の時代、安心安全を確保することは比較的容易なので、深い変性意識に入るにはとても適した時代かもしれません。

 

それでも自身の力だけで深い変性意識に陥ることは容易ではありませんが。

 

このようなことから、

  • 静かな安心安全を確保できる場所
  • ある程度体の歪ませた状態で座る
  • 意識を頭の中(おでこの内側)に集中させ続ける

条件が揃えば、深い変性意識状態に比較的入りやすいと考え、この仮説を元に、私も深い変性意識に入りることについて2度ほど検証してみました。

瞑想を実践してわかったこと

  • 静かな安心安全を確保できる場所
  • ある程度体の歪ませた状態で座る
  • 意識を頭の中(おでこの内側)に集中させ続ける

条件が揃えば、深い変性意識状態に比較的入りやすいと考え、この仮説を元に、私も深い変性意識に入るための瞑想について2度ほど検証してみました。

 

このことで、いくつか気付いたことを述べていきたいと思います。

 

深い変性意識状態に入るための考案した瞑想法を実践してするうちに、体の力が抜けてきて、頭の中が真っ白になる感覚を覚えました。

 

次第に、気分がハイ(ちょっとした興奮状態)になり、今まで感じたことのない言えない快感(快楽)を覚えたのです。

 

身体に意識を向けると、手足が冷たくなり、心臓がドキドキしたりして、身体的には心地良い状態ではありませんでした。

 

しかし、頭の中が空っぽになるような、興奮を感じるような、異様な感覚はとても刺激的で病み付きになりそうな感覚がありました。

 

もしかしたら、覚醒剤の類は、このような(さらに強い)感覚なのかもしれません。

 

ただ、身体感覚は恐ろしいほど弱くなります。

 

今まで身につけた身体感覚(深部感覚)が、この2回日だけで、うそのように弱くなってしまいました。

 

なので、検証をその日だけに留め、大田式のワークを行って変性意識を解くように試みました。

 

深い変性意識からは解けることができても、自意識を完全に取り戻すには、私が思っていた以上の時間を要しました。

 

その間、

 

まず、注意力が散漫になったのに気がつきました。

 

また、体(特に腹部)が異常に冷えを感じました。

 

そして、家内から、日中にもかかわらず瞳孔が開き気味だと指摘されました。(日中は光が多いため瞳孔は小さくなるのが当たり前です。)

 

瞑想を試みた4日後、原因不明の発熱に襲われたのでした。

 

熱が出た当日、喉が少しヒリヒリしていたので、お腹に手を当てると、とても冷たかったので安静を図るため、横になって腸活性ヒーリング(腸活)を行いました。

 

30分ほど行ううちに、おなかの冷えが取れ、腸の動きが良くなりました。

 

その後、家内に瞳孔をみてもらったら小さくなっているとのこと。(お昼過ぎ)

 

おなかの冷えが取れたところで、脱力トレーニング(呼吸・丹田・空間意識®︎調整動作)を行って身体を整えました。

 

その数時間後、急に寒気がしたので体温を測ると37.3あり、夜、最高37.7℃まで上昇しました。

 

その際、左右の側頭部から側胸部と側腹部(脇)、大腿外側(膝から上)、下腿外側(膝から下)にかけて寒気のような感覚を感じました。

 

これは、経絡でいう肝経と胆経にあたるため、肝の臓と関係あったかもしれません。

 

発熱は夜中まで続きましたが、翌朝には36.4℃まで下降し、熱が下がるとも肝経に沿った寒気も止まり、それ以降、発熱することはありませんでした。

 

翌々日(月曜日)、少し喉が痛かったため、インフルエンザの恐れも考えられたので、念のために病院で診察を受けに行きましたが、幸いインフルエンザではなく安心しました。

 

おそらく、深い変性意識に入ったことによりおなかが冷えて免疫力が低下して風邪のウイルスに感染したのでしょう。

 

しかし、普通の風邪では、そこまで発熱することは稀です。

 

この発熱は、おなかを活性化させるワークを行ったことで、体温を上げておなかを温めようとする反応が強く表れたための発熱だったのではないかと考えられます。

 

大田式調整動作には身体を好転させる反応があり、時としてその反応が強く出ることもあります。

 

普段では考えられないくらい、おなかが冷えていたのでしょう。

 

発熱が起こる4日間の間、深い変性意識状態から顕在意識が働く正常な意識状態に戻す試みを行ってきました。

 

しかし、深く入ってしまうと、簡単には正常な意識状態には戻れないことが今回の件で理解できました。

 

そして、変性意識状態が浅くなる過程で

  • 注意力が散漫になる
  • 体の不調を覚える
  • ネガティブな思考が強く表れる
  • 物事に対する執着心が強くなる
  • 依存心が強くなる
  • おなかが冷える
  • 身体感覚が弱くなる

などの傾向があることを知りました。

 

この経験を通して、安易に深い変性意識状態(催眠)に入らないように気をつけなければならないことを痛感しました。

快感を不安に変えるドーパミン

一度深い変性意識状態を経験した人は、浅くならないように、定期的に瞑想や呼吸法を行うのかもしれません。

 

そうすることで、集中力が高まり、体の不調が消え、ネガティブな感情が消え、気分が良くなります。

 

そして、なにより強い快感(快楽)を覚えることで、その魅力に取り憑かれるのでしょう。

 

この快感を作り出しているのがドーパミンです。

 

ドーパミンは、中枢神経系(脳、脊髄)に存在する神経伝達物質で、運動調節、ホルモン調節、快感、意欲、学習(記憶)などに関わっています。

 

ドーパミンが少なくなることで起こる代表的な病気がパーキンソン病です。

 

パーキンソン病になると、手足が震えたり、こわばったり、姿勢制御が上手く行かなくなり転倒しやすくなったりします。

 

これは、ドーパミンによる運動を円滑に行えるように調整する働きが弱くなるからです。

 

また、ドーパミンは意欲を高めたり、記憶力を高めたりする働きもあります。

 

ですので、とても重要なホルモンです。

 

しかし、ドーパミンが過剰になると依存心が強くなり、お酒やギャンブルなどの依存症になるなどの弊害があります。

 

強い依存を引き起こすと言われている覚醒剤には、ドーパミンの分泌を促す作用が知られています。

 

そして、深い変性意識(催眠)にもドーパミンの分泌を促す作用があります。

 

深い変性意識状態(催眠)によって記憶力が良くなることが知られていますが、これは脳内のドーパミンが過剰に分泌されることによるものです。

 

ドーパミン過多になると負のストレスを感じる時に分泌されるノルアドレナリンが多くなると考えられます。

 

なぜかと言いますと、ノルアドレナリンの前駆物質がドーパミンだからです。

 

なので、ドーパミンが多くなると比例してノルアドレナリンも増加することになります。

 

ノルアドレナリンというと、ストレスに関係する悪いホルモンというイメージが強いかもしれませんが、人が生きていく上でとても大切なホルモンです。

 

ノルアドレナリンには、注意力を高め、闘争、逃避するために心拍数を直接増加させるように交感神経系を働かせ、脂肪を燃焼させて筋肉の働きを活発させる働きがあります。

 

また、新しい知識が長期記憶として記憶されるためにも必要だと言われています。

 

しかし、ノルアドレナリンが過剰になると攻撃的になったり、パニック(気が動転)になりやすくなるという弊害があります。

 

通常の意識状態にあれば、ドーパミンが過剰に分泌されたら、それを抑えるセロトニンが分泌されドーパミン過多にならないように調整されています。

 

しかし、深い変性意識状態(催眠)に入ると内臓(腸)の働きが弱くなるためセロトニンの分泌が少なくなり、ドーパミン過多になるのでしょう。

 

深い変性意識によって、ドーパミンが過剰に分泌されることで脳の機能が活性化されれば、能力開発にはなるかもしれません。

 

ですが、それは一時的なものであり、心身にかかる負担は甚大です。

 

脳内で分泌された過剰なドーパミンがノルアドレナリンに変わると、心理面では不安や恐怖といった感情が強く出るようになり、身体面では震えなどが強くなります。

 

これらは、依存症の離脱症状です。

 

この離脱症状が出ると不快なので、瞑想を行って深い変性意識状態に入り、脳内のドーパミンを増やそうとするのでしょう。

 

これは、薬物依存のプロセスにとても類似しています。

 

覚醒剤などがやめられなくなるのは、強い離脱(禁断)症状の苦痛とドーパミンによる多幸感や強い快感によるものだと考えられるからです。

 

このことで交感神経が過剰に刺激されると自律神経のバランスが崩れ、心身の健康を大きく害すことになります。

 

しかし、身体感覚、特に骨や内臓などの深部の感覚が鈍くなるため、身体(特に内臓)に負担がかかっていることに気がつかないまま、体が内側から蝕まれていきます。

 

これが、深い変性意識状態(催眠)が危険だと考える大きな理由です。

脳内ホルモンの調整役「セロトニン」

瞑想によって脳を興奮させて快楽を覚える時、脳内ではドーパミンが過剰に分泌され、覚醒剤を打ったのと同じ現象が起こっていると考えられます。

 

覚醒剤は違法ですが瞑想は違法ではありません。

 

それが故に、たちが悪いです。

 

そして、深い変性意識によって脳内ホルモンのバランスが悪くなり、このことで交感神経が優位になり自律神経のバランスが崩れるデメリットがあることに変わりありません。

 

このことで、内臓の働きが悪くなることが大きなデメリットです。

 

内臓(腸)の働きが悪くなると、ドーパミンの働きを調整してくれるセロトニンが分泌されにくくなります。

 

セロトニンは、主に消化管(腸)で多く(約9割)生成されて、腸の蠕動運動を促す働きがあります。(多いと下痢、少ないと便秘)

 

消化管で生成されたセロトニンの一部は血小板中に取り込まれて、血液凝固や血管収縮、痛みのコントロール、脳の中の血管の伸縮を調節するなどの働きがあります。

 

また、脳内で働くセロトニンは脳の中にある脳幹の縫線核というところで合成されています。

 

脳内セロトニンは、大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部、脳幹、脊髄など広い範囲に行きわたるため、生体リズムや睡眠、体温調節などの生理的な機能と、気分障害や統合失調症、薬物依存などの病気に関係したり、睡眠の周期や痛みの認知、食欲なども制御していると言われています。

 

いわば、生体リズムを調整するために欠かせないホルモンだと言えます。

 

また、セロトニンには、ノルアドレナリンとドーパミンが過剰にならないようにコントロール(調整)することで気持ちを安定させる働きがあります。

 

人体のセロトニンの多くは、腸にある腸クロム親和細胞という細胞によって合成されますが、そこで作られたセロトニンは脳内で使われる可能性はないと言われています。

 

脳には、血液脳関門という脳に入る物質を振り分ける関所があり、セロトニンはそこを通ることができないからです。

 

なので、腸の働きが脳に直接関係していないと言われていました。

 

しかし、近年、脳の機能は内臓の働きに大きく影響していることがわかってきました。

 

これは、脳と内臓とは神経のネットワークによって繋がっており、内臓が活性化されると、この刺激が脳細胞に伝わり脳細胞の働きを活性化するためだと言われています。

 

このことで、脳内のホルモンの分泌が活性化されるとも考えられます。

 

さらに、腸内細菌によって体に必要な栄養素が作られていると言われてはじめています。

 

脳内ホルモンであるセロトニンやドーパミンの前駆物質(材料になる物質)も腸内細菌によって作れます。

 

セロトニンの前駆物質であるトリプトファンやドーパミンの前駆物質であるL-ドーパを食品から摂取しても腸内細菌がいなければ吸収されないそうです。

 

また、腸内細菌で作られるセロトニンの前駆物質である5-ヒドロキシトリプトファンとドーパミンの前駆物質であるL-ドーパは血液脳関門を通過することができ、脳内でセロトニンとドーパミンを作る材料になります。

 

ですが、腸内の温度が低いと悪玉菌と呼ばれる細菌の割合が多くなり腸内環境を悪くします。

 

善玉菌の割合が腸内細菌の約2割になる時に腸内細菌のバランスが良く、腸内環境が最も良くなると言われています。

 

善玉菌の割合を増やすためには善玉菌の餌になる食物繊維が必要なことはもちろんですが、善玉菌が繁殖しやすい適度な温度が重要になります。

 

このことから、内臓の活性化が必要なのです。

 

ここでセロトニンが腸内で生成されて腸の蠕動運動が活発になれば、腸の体温が上がり、腸内細菌の働きも良くなります。

 

このことで、脳内のセロトニンの材料になる5-ヒドロキシトリプトファンも増え、脳内のセロトニンの分泌されやすくなり、変性意識に陥りにくくなります。

 

このように考えれば、人の心は腸内環境の影響を大きく受けていると言えます。

腸内細菌と脳内ホルモン

人は、加齢とともに記憶力が低下する理由に、ドーパミンの分泌が少なくなることが考えられます。

 

ドーパミンには記憶を司る海馬の働きを高める効果があるため、ドーパミンの減少により記憶力が低下します。

 

また、加齢と共に内臓の働きが悪くなり、腸が冷えて腸内の環境が悪くなります。

 

近年、腸内細菌によって身体に必要な栄養分が作られたり、免疫に深く関わっていると言われるようになりました。

 

人の中にいる腸内細菌には主に

  1. 病原体の侵入を防ぎ、これらを排除
  2. 食物繊維を消化し発酵して短鎖脂肪酸(酢酸など)を産生
  3. ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類の生成
  4. 免疫力の約7割を腸内細菌と腸粘膜細胞とで担う
  5. ドーパミンやセロトニンを合成

など、5つの働きがあります。

 

ただ、腸内細菌については分からないことが多く、今度の研究によって解明されることが期待されています。

 

また、腸内細菌、特に善玉菌と言われる体にとって良い作用をもたらす腸内細菌を増殖させるためには、ある一定の熱が必要です。

 

内臓の働きが悪くなると、腸内の体温が低くなり、善玉菌の働きが悪くなってしまいます。

 

腸内細菌で作られるものの中に、脳内ホルモンであるドーパミンを作る材料になるL-ドーパがあります。

 

そして、ドーパミンの分泌をコントロールしたり、睡眠を促すメラトニンの材料になるセロトニンを作る材料になる5-ヒドロキシトリプトファンも腸内細菌によって作られていると言われています。

 

睡眠には、記憶を整理する働きがあると言われており、記憶力を高めるために欠かせません。

 

このようなことから、加齢に伴う記憶力の低下と内臓の働きの低下には深い関係があることがわかります。

 

また、古来より言われる臍下丹田は下腹部にあると言われ、下腹部の中にある内臓は腸です。

 

私は丹田=腸ではないと考えていますが、丹田が活性化されることで腸が活性化されることは間違いありません。

 

丹田を練ることに成功した人は、頭脳明晰な人が多いと言われていますが、これは、丹田が練られたことで内臓(腸)の働きが高まり、脳細胞が活性化された結果だと考えられます。

 

古来より練丹法が能力開発に使われてきた所以でもあります。

 

呼吸法や練丹法などは、瞑想を行う際に生じる催眠(深い変性意識)状態による弊害に気がついた先人たちによって培われた智慧だとも考えられます。

 

人の腸には、健康やアンチエイジング(抗加齢)ばかりではなく、精神状態の改善、能力開発など、さまざまな可能性があるようです。

 

その可能性を引き出すためには、腸の働きを良くすることです。

 

また、腸を活性化させることで腸内細菌のバランスが良くなり、脳の機能を高めることができるのは、脳内ホルモンのドーパミンとセロトニンの関係ばかりではありません。

 

脳の神経細胞よりも内臓に取り巻いている神経細胞の方が圧倒的に多く、脳と内臓とは神経のネットワークで繋がっているため、内臓の働きが高まれば、

その刺激が脳に伝わり、おのずと脳の働きも活性化されるかだとも言われています。

 

ですので、脳内のドーパミンを過剰する深い変性意識(催眠)を利用した能力開発法は、腸の機能を低くする時代遅れのナンセンスな方法だと言えます。

 

変性意識状態とは認識力が落ちた無意識状態の領域が増える、いわば注意力が散漫な意識状態のことです。

 

その原因は、内臓、特に腸の働きが悪くなることによる脳内ホルモンのアンバランスによるものです。

 

なので、

  • ケアレスミス
  • 何かに気を取られ集中できない
  • 過去の出来事に囚われる
  • 将来に漠然とした不安を感じる

などの弊害(脳の誤作動)によって精神的にストレスを抱えることで病気や怪我をする恐れもあります。

 

そして、変性意識が深くなることで、

 

  • 自律神経のバランスを崩す
  • 脳内ホルモンのバランスを崩す

などで身を滅ぼすことを、以前の投稿でも述べてきました。

 

人間ですので、ボーと(軽い変性意識)なることは誰にでもあることなので、変性意識を恐れることはありません。

 

大切なことは「今、変性意識だったから気をつけよう」とすぐに我に帰ることだと思います。

変性意識から解放する脱力トレーニング

腸を活性化させるワークとして、呼吸法や練丹法が知られています。

 

呼吸法にしても、練丹法にしても、変性意識状態を避けるように体系化されてきたように考えられます。

 

座禅では、不意に肩を叩かれる(警策)のも、ヨガや気功などが体を動かすストレッチや体操を取り入れているのも、おそらく、変性意識(魔境)に入らないようにするためでしょう。

 

深い変性意識状態に陥ることで、禅病や偏差、クンダリーニ症候群(自律神経失調症や統合失調症)などになる恐れがあるからです。

 

ですが、いくら気をつけていても深い変性意識の罠に陥ってしまいます。

 

なぜかと言いますと、身体のバランスを整えるためのポイントが不明瞭だからです。

 

なので、変性意識の原因となる体の歪みを改善することができません。

 

体の歪みが強いと変性意識状態に入りやすくなるのは、体の歪みによって体幹部の中にある内臓が圧迫されて内臓の働きが悪くなるからです。

 

そうなると、セロトニンに不足によってドーパミン過多になり脳内ホルモンのバランスが崩れ、このことで自律神経のバランスも崩れ、さらに内臓の働きが悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。

 

このような状態で、呼吸法や練丹法を行なってしまうと、さらに内臓を圧迫してしまい大きな弊害が及ぼされてしまいます。

 

瞑想でも座禅でも気功でもヨガでも姿勢が大切と言われいるのは、このためです。

 

しかし、深い変性意識に入るための瞑想でも脱力する効果があります。

 

その点では、大田式調整動作の脱力トレーニングと類似しています。

 

ですが、似て非なるものです。

 

瞑想は、深い変性意識(催眠)状態に入り、無意識(潜在意識)に働きかけるために行われると言われています。

 

潜在意識とは、意識(顕在意識)するできない無意識状態のことです。

 

能力開発をうたう自己啓発などでは、潜在意識に働きかけて潜在能力を引き出すために深い変性意識(催眠)状態に入ることを勧めており、そのためには自意識が邪魔になると言われます。

 

また、瞑想によって脱力して、心身がリラックスできると言われています。

 

瞑想を行うことで脱力感覚を得られるようですが、これは錯覚です。


深い変性意識によって体の歪みが強くなると体幹部が捻れます。


そうするとで体幹が固定されやすくなり、頭に近い筋肉(認識しやすい筋肉)を脱力しやすくなる。


それを「脱力できる」と勘違いしてしまうのです。


それに対して、脱力トレーニングは、骨で体を支えるようにすることで脱力しやすくなります。

 

人の関節はとても滑らかなので、骨の位置を整えるためには、高度な姿勢制御能力が必要となるため、インナーマッスル(腹横筋)が適度な緊張と弛緩を繰り返します。

 

ですので、深い変性意識状態(催眠)に入ることはできなくなり、変性意識が解けていきます。

 

脱力トレーニングで行う呼吸法や丹田、そして身体軸のワークは瞑想に近いです。

 

ですが、深い変性意識による弊害を起こしません。

 

なぜかと言いますと、身体のバランスを整えることから始めているからです。

 

身体のバランスが整えることで骨のアライメント(位置)が良くなり関節の動きが良くなります。

 

また、背骨のアライメントも整うことで背骨を通る脊髄の圧迫がなくなり、脳と四肢との神経伝達が良くなって身体感覚の入力情報と姿勢制御機能が高まって脱力が促され、この結果、脳の機能が高まります。

 

また、背骨の位置が整うことで、背骨に着いている肋骨の動きが良くなります。

 

肋骨は、呼吸を司っており、背骨の位置が整うことで胸郭と骨盤の連動運動が活性化されて呼吸が深くなります。

 

このことで、おなかの動きも良くなり、中に入っている内臓も適度に刺激され活性化され、脳と内臓をつなぐ神経ネットワークによっても脳が活性化され、脳内でドーパミンの分泌を促すと共にセロトニンも物質される集中しながら心は穏やかな状態です。

 

これらのことで、脳神経、内臓の働きが良くなり、これに伴って脳の機能が活性化されて自意識が広がります。

 

不調の改善と共にメンタルケアや能力開発に効果があるのは、このためです。