スポーツになじみのない人に「腰を回して」というと、たいていウエストを捻ろうとします。
ですが、腰の骨(腰椎)の回旋の可動域は、おおよそ5度ぐらいなので、腰を回すことはほどんど出来ないのです。
この時、ウエストを捻るように働くのが、胸椎(背中の骨)と肋骨です。
胸椎の関節の構造上、腰椎よりは回旋できるようになっています。
そして、肋骨が捻る動作に対応することで、ウエストを捻じることができ、この時に働く主な筋肉が腹斜筋です。
ですが、腹斜筋自体は薄い筋肉なので、大きな力を出すことができません。
腰を回すように行おうとしてウエストだけを捻じろうとすると腰に負担がかかり、腰を痛めてしまいます。
スポーツの動きに慣れた人が、「腰を回す」動作を行う時の「腰」とは股関節なのです。
ですので、腰を回す動作を効率よく行うためには、股関節のまわりに意識を置くと体を回しやすくなります。
それであれば、なぜ「腰を回す」と言うのでしょう。
それは、昔の人にとって腰とは、「骨盤のまわり」だったからです。
それに対して、今の人の「腰の意識」はウエストの後ろにあります。
なので、腰を回そうとするとウエストを回してしまいがちです。
股関節を軸にして体を捻じると骨盤が回り、その動きに合わせて、ウエストも捻じられます。
この時、大腿筋(モモの筋肉)、臀筋(お尻の筋肉)、背筋、腹斜筋(脇腹の筋肉)などが連動して使われます。
一見、似たような動作ですが、動きの質と使われる筋肉の種類が大きく異なります。
これは、体を動かす時に、「どの部分に意識があるのか?」という違いです。
体に対する意識によって、動作の質が大きく変わるのです。
若い人に肩こりや腰痛が増えてきているのは、体を使う機会が減ったことによる「体の意識」の質が落ちているからだと考えられます。
スポーツの得意な人も体の動きに対して、明確に意識を向けているとは思えません。
明確に意識を向けていなくても、感覚として脳に記憶されており、「こんな感じで動かせばいい」ということを、さまざまな動作を行う過程で、動作の成功例を脳に記憶し、それらの動作をフィードバックされているのでしょう。
明確な意識ではなく、漠然とした感覚的な意識を明確にできることを「センスがある」とよくいうのだと思います。
体の意識の質を高めれば動作に明確な意識を持つことで、質の高い動作をフィードバックすることが可能になり「センス」を身に着けることだってできるようになります。
そのために用いているのが空間意識®を用いた脱力トレーニングです。