以前から、スポーツなどでは「軸」と言われているものがあります。
武術などでは「正中線」、クラッシックバレーでは「センター」とか言われるそうですが、
それらも「軸」一種だと考えられます。
では、「軸」とはなになのでしょうか?
体のパーツで軸になりそうなところは背骨です。
でも、背骨はS字になっていますので、それ自体が軸になるのではありません。
二本足で体を支えるためには、体幹部を背骨で支える必要があります。
その時に、垂直抗力の線が背骨のまわりに通ります。
垂直抗力とは、重力に抵抗する力で重力と逆方向に働く力のことです。
その力は、固い物質ほど強く働き、人体で一番固いのが骨です。
ですので、垂直抗力は骨に強く働きます。
そして、その力は背骨のまわりに線上に集まります。
立位時、体の重心は仙骨の内側にあります。
地球の重心と体の重心とを結んだ線が重心線です。
その線が、背骨のまわりを通る状態が理想です。
垂直抗力は重力と正反対に働きますので、重心線と正反対方向に垂直抗力の線が生じます。
その線も、背骨のまわりに生じるのが理想です。
その線が、「軸」の正体なのです。
ただ、人の重心は姿勢によって場所が変わります。
ですので、重心線も姿勢によって変わります。
ですが、垂直抗力の線は姿勢が変わっても背骨のまわりを通るのが理想です。
その理由として、人の体は完全な剛体ではないことがあります。
人体で剛体なのは、骨だけです。
筋肉は状況に応じて剛体になりますが、基本的にはやわらかい物質です。
そのため、垂直抗力の線が剛体である骨を通らなければ、動くことはおろか立つことすらできません。
そして、動作の起点となるのが背骨であり、背骨に垂直抗力が通ることで初めて立ったり動いたりすることができます。
ですので、垂直抗力の線は常に背骨のまわりを通るのが理想です。
ですが、体の歪みが強いと垂直抗力の線が背骨を通らなくなります。
なぜならば、体の歪みによって筋肉が緊張し、筋肉が剛体となることで筋肉に垂直抗力が通ってしまい、背骨から垂直抗力の線がずれてしまうからです。
そうなると、体が重力に押し潰されてしまい背骨の動きが悪くなってしまいます。
このことで、全身の関節の動きが悪くなり、体の動きが悪くなります。
体の動きを甦らせるために必要なもの。
それが、垂直抗力を通す空間意識®︎のライン(線)である身体軸なのです。