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動作と意識(空間意識®を用いた脱力動作法)

人は何らかしらの動作を行おうとする時、必ず体の外に意識を向けています。

 

体の外の情報を処理して、それに応じて行動するからです。

 

ただ、そのことは意識されません。

 

意識しないうちに脳が自動処理しているからです。

 

めったなことでは物で体をぶつけることがないのは、そのためです。

 

そのような能力を、空間認識力といいます。

 

空間認識力は、大脳の右半球(右脳)の働きによるものといわれています。

 

日常生活は、物事を分析したり、言葉を使って考えたりと大脳の左半球(左脳)の働きがメインになります。

 

そのため、意識は空間を認識することよりも言葉を使って考えることが優先されます。

 

しかし、そのような状況でも大脳の右半球は働いています。

 

ただ、その働きが意識されていないだけです。

 

もし、大脳の右半球の持つ空間認識力を意識して使うことが出来ればどのようになるでしょう?

 

意識していないものに意識を向ける。

 

そのように意識を使うと、体の動きの質が高まります。

 

なぜかと言いますと、体を動かすには空間認識力が必要だからです。

 

人が体を動かすと言うことは、体の外に力を加えることです。

 

そのためには、自分の体と外との位置関係が良くなければ体を上手に動かすことができません。

 

人が動作を行う時、無意識のうちに行われていることなので意識することがありませんが、このことを意識することができれば、その能力も高めることができます。


能力を意識すれば、その能力が高められます。

 

ですので、動作の質を高めたいのであれば、空間認識力を高める必要があります。


そのように考えると、パフォーマンスを高めることを目的とした筋トレやストレッチを行うのは現実的ではありません。


なぜならば、筋トレやストレッチでは、対象とする筋肉に意識が向けられるからです。

 

しかし、それでは体の内側にしか意識が向けられます。


そうなると、自身の身体と体の外とで良好な位置関係を築くことができません。

 

そう意味から、筋トレやストレッチはパフォーマンス向上を目的としてはならないと考えます。


では、筋トレやストレッチの意義とは何なのでしょうか?

 

筋トレの意義は、麻痺や廃用性の筋肉の萎縮による筋力低下によって動作を行えない状態や動作を行いづらい状態を改善することです。

 

問題なく動作を行えるのであれば、必要以上に筋力強化を図る必要はないと考えます。

 

ストレッチは?

 

筋肉が萎縮して伸ばせなくなることで関節の動きが制限を受けた状態を改善することです。

 

問題なく動作を行えるのであれば、必要以上にストレッチを行う必要もそこまでないと思います。

 

そのためなのか、治療法や脱力動作法をうたう人の中には、筋トレやストレッチを否定する人もいます。

 

ですが、現実的に言えば、筋力も柔軟性も年齢とともに低下してしまう。

 

なので、私は、筋トレやストレッチもある程度は必要だと考えています。

 

むしろ、筋肉を鍛えることや柔軟性を高めることはとてもいいことだと思います。


しかし、筋トレやストレッチを行う目的と方法がを動作の質を高めることを目的としてしまうと、かえって逆効果になります。

 

なぜならば、力を加えるべき外との環境に意識がフォーカスしていないからです。

 

いくら力を強くしても、いくら柔軟性を高めても、触ることができなければ意味がありません。

 

動作の質を高めることは、外との環境に適合しなければならないのです。

 

動作の質を高めたいと思っているのに筋肉に向ける意識を高めてしまうと異なる意識を高めてしまうことになります。

 

体を作る意識を作る時には体に、体を動かす意識を作る時には外に、という具合に意識を向け方を変えなければいけません。

 

動作の質を高めるためには、体を動かす意識と同様に、空間認識力を高めることが必要なのです。