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自己催眠の危険性

通常とは異なる意識の状態のことを変性意識といい、催眠は、その一つで、意識が狭窄した状態のことをいいます。


催眠状態は、ある意味、異常な意識という意味でもあります。

 

通常、朝、目が覚めることは覚醒といい、夜になって眠ることを睡眠といいます。

 

催眠状態とは、覚醒と睡眠の間のような状態です。

 

覚醒している時、意識はしっかりとしていて物事をしっかりと認知していますが、睡眠時は意識がなく外界からの刺激が認知されません。

 

催眠状態になると睡眠の状態ではないのにもかかわらず意識が不鮮明になります。

 

このような状態の時、意識(顕在意識)の働きが弱くなり、無意識(潜在意識)の働きが強くなると言われています。

 

物事を判断したり認知する力が落ちるので、無意識(潜在意識)が優位に働きます。

 

心理療法で過去に行われていた催眠療法は、無意識(潜在意識)の領域に押し込められた記憶を意識(顕在意識)に引出すために行われていました。

(催眠には記憶を書き換えてしまうリスクや依存心を強くするなど、取り扱い方に問題があり、現在の心理療法では催眠を行う手法は主流ではありません。)

 

多くの心身症や精神疾患は無意識の領域に押し込まれて意識に表れないようにした感情が身体や精神を介して出てこようとする時に起きると考えられ、この感情を意識(顕在意識)で認知することで解決するケースがあるからです。

 

ですが、催眠の技法を潜在能力の開発に使おうとするケースが増えてきていることに強い懸念があります。

 

このような技法を使うことで、その人の思考や感情、行動を術者の思い通りにコントロールすることもできるからです。

 

これが、マインドコントロールです。

 

マインドコントロールを行う前段階で、催眠状態にする必要があります。

 

催眠状態にする方法には大きく3つあります。

 

1つ目は、リラックスさせる方法で心理療法で使われます。

 

2つ目が、驚かせることで瞬時に催眠状態を作るという方法で、オレオレ詐欺など詐欺師が使う方法です。

 

これは、冷静を欠くようなことを言うことで頭を真っ白にして思考停止させて催眠状態にします。

 

この状態で指示が与えられると、言われるがまま行動してしまい、お金をだまし取られてしまうのです。

 

3つ目が、狭い空間に多くの人を集めて同じ話を聞かせたり、同じ動作を行わせたりする方法です。

 

集団意識を利用したもので、宗教や自己啓発セミナー、ネットワークビジネスなどで使われます。

 

人は本能的に大勢で集まることで安心を得ようとする社会的欲求があり、まわりに大勢の人がいると警戒心が解けて判断力が低下します(特に知っている人がいればなおさらです)

 

このような時も催眠状態になりやすく、演者の話を聞くと無批判に信じてしまいやすくなります。

 

大きく分けてこの3つですが、中には、これらのようは方法を使わずに巧みに催眠をかけてしまう人もいることは、「身近に潜むマインドコントロール罠」の記事で書きました。

 

これらの催眠は他の人からかけられるので他者催眠と言います。

 

他者催眠はかかりやすいが解けやすいので、マインドコントロールをかけようとする人は、自己催眠をかけるように誘導し、術者の暗示を深くすることで長期的にコントロールしようとします。

 

通常、自己暗示は思ったように行えません。

 

自己暗示をかけるためには自分で催眠状態にする必要があるからです。

 

なぜならば、意識が覚醒した状態では暗示をかける言葉を発するために理性が強く働き暗示にブロックがかかるからです。

 

ですが、マインドコントロールにかかっている人は催眠状態に入りやすく理性の働きが弱くなっています。

 

そこで催眠に入りやすくする儀式を教えれば自己催眠に入りやすくなり、そこにコントロールしやすいような暗示を唱えてるように誘導すれば自己暗示がすんなり脳に刻まれます。

 

これは、宗教などで使われる方法で、最近ではビジネスセミナーやコミュニケーションセミナーなどで使われていると言われます。

 

プラスの暗示をかけることで、精神的にポジティブになるというメリットはあります。

 

ですが、自己催眠には多くの危険性があり、このことはあまり言われていません。

瞑想のリスク

自己催眠の歴史は古く、ヨガや座禅などで行われる瞑想、あと気功も自身で催眠状態を作り出す方法として体系化されたものだと言われています。

 

ヨガや気功は、今でこそ健康増進のフィットネス感覚で行われていますが、由来をたどれば宗教で行われていた修行法です。

 

瞑想もマインドフルネスという形で一般的に知られるようになり、そのメリットが取り上げられています。

 

瞑想を行うことのメリットとして知られているのは、

  • ストレス軽減
  • 集中力を高める
  • 感情をコントロールできるようになる
  • 熟睡できる
  • 記憶力が増す
  • 脳の灰白質を増やす

などの効果です。

 

そのほかにも、さまざまな効果があると言われています。

 

いっけんメリット多い瞑想ですが、デメリットもあります。

 

ですが、デメリットについては、あまり言われていません。

 

瞑想のデメリットは、座禅では「禅病」、気功では「偏差」という形で知られています。

 

身体的症状として

  • 頭痛など、体のあちこちが痛み出す
  • 呼吸困難
  • 胸の締め付けられる感覚
  • 冷や汗
  • 頭がボーッとなる
  • 感覚が過敏になる
  • 手足にしびれなど感覚の異常
  • 手足が異常に冷える
  • のぼせ
  • 下痢 

精神的症状として

  • 幻覚
  • 幻聴
  • 妄想(被害妄想)

などが挙げられます。

 

これらの症状は、現代医学でいうところの心身症(自律神経失調症)や精神疾患です。

 

このようなことが起こらないように、瞑想を行う時には経験を積んだ指導者のもとで行うように昔から言われていました。

 

もともと瞑想は、宗教の修行の一つとして行われていたもので、瞑想を行う目的は、神とつながるためとも、悟りや解脱をめざすためとも言われております。

 

瞑想することで、意識の変容が起こり、催眠状態になります。(変性意識)

 

催眠状態になると、意識(顕在意識)の働きが弱まり、それに伴って脳の機能の多くを占める無意識(潜在意識)の働きが強くなることで脳の働きが活性化され、外界からの入力情報が多く取り込めるようになります。

 

また、脳の深部にある間脳の働きも活性化されやすくなるので、自律神経の働きが高まりリラックス効果が表れます。

 

ですが、熱心に行いすぎると逆に、そのことがデメリットとして働き、心身に悪影響をもたらします。

 

また、普段は制御されている無意識の働きが強くなると、忘れていた過去のつらい記憶が鮮明に甦ったり、幻覚や幻聴が起きたりします。

 

これは、脳の働きが活性化されることによるもので、意識で制御されていない分、必要以上に脳が活性化されてしまい脳内ホルモンのバランスが崩れるためだと考えられます。

 

また、自律神経失調症になるのも自律神経の働きを制御している脳幹の働きが活性化され過ぎることで自律神経のバランスが悪くなることも考えられます。

 

瞑想は自己催眠に入る方法の一つです。

 

なので、瞑想を行うことによって生じるデメリットが自己催眠でも起きてもおかしくありません。

 

そもそも瞑想は宗教の修行、催眠療法は精神疾患の治療のために考案された方法ですので、一般人向けの方法でなく、特殊な状況で行われるものです。

 

そして、催眠状態も普遍的な意識ではなく、特殊な状態の意識ですので、安易に行おうとすると何らかしらの歪みが起こるのは当然です。

 

宗教の修行者などが、悟りを得る過程でその副産物として潜在能力が開花された歴史がありますが、その裏側で自律神経失調症や精神崩壊などで侵された人も多かったと聞きます。

 

禅病や偏差の原因となるのが、自己催眠の多用なのです。

 

自己催眠には、心身に対してのリスクが大きいことを知っていただきたいと思っております。

 

【参考記事】瞑想の危険性(変性意識のリスク)

プラスの暗示

自己啓発系のビジネスセミナーやコミュニケーションセミナーなどで、自己催眠を取り入れたワークが行われているようです。

 

他者催眠をかけるようなセミナーというのは、怪しい雰囲気が漂っていてなんとなく無意識で「ここに入るとマインドコントロールをかけられる!」という感覚が働き近づかないものです。

 

ですが、自己催眠という形ですと、自分で催眠をかけて潜在能力が発揮できるのであればいいのでは?と思い、警戒心がなくなりがちです。

 

自己催眠自体は、歴史が古く、古来より宗教では行われていました。


その手法として瞑想があり、ヨガや気功、座禅やお祈りなどがあり、宗教の修行法として行われていました。

 

それは、宗教という特別な環境下で行われるものです。

 

なので、本来は一般人が行うべきものではありません。

 

実際には、自己催眠や自己暗示は、とても難しく、うまくできないものです。

 

なぜならば、意識がしっかりしていると催眠状態に入りにくく、暗示がかかる変性意識(催眠)状態にすることが難しいからです。

 

そこで、ビジネスセミナーやコミュニケーションセミナーなどでは、講習会という形で自己暗示の方法を教えるのだと思います。

 

このようにすれば、集団意識を利用してスムーズに催眠状態に入ることができるからです。

 

なぜかと言いますと、人には「集団で活動することで安心を得たい」という社会的な欲求があり、その中で、周りに合わせて同じ動作を行うと連帯感が生まれ、そこに安らぎが生じ、心身が緩みます。

 

このことで、変性意識(催眠)状態になりやすくなります。

 

そこで、行動を操作するように暗示をかければマインドコントロールになってしまいますが、そのようなところでは行動を操作するような暗示をかけません。

 

そのかわり、自己暗示をかける方法として自己催眠を教えます。

 

自己催眠に入ることはとても難しいので、集団で催眠状態になってから自己催眠の方法(ワーク)を教えると自己催眠に入りやすくなります。

 

この方法は、宗教で行われる儀式と基本的には同じです。

 

このようにしてからプラスの暗示をかけると、無意識(潜在意識)にプラス思考を植え付けることができます。

 

そうすると、ネガティブな感情を引き起こすマイナス思考が無意識(潜在意識)の奥に追いやられて意識(顕在意識)として認知できなくなります。

 

人は、不安や恐怖などの感情によって行動が制限されるものです。

 

それは、安心と安全を確保したいからです。

 

ですが、願いを叶えたり、成功するためには、行動を起こさなければいけないという面もあります。

 

なので、自己催眠とプラスの暗示によってブレーキをかけるネガティブな感情を消失させると成功しやすくなるのだと考えられます。

 

ですが、このようなプラスの暗示は、とても危険なことなのです。

心の闇

自己催眠とプラスの暗示は、危険な面があります。

 

自己催眠を繰り返すことによって、自律神経の乱れや精神の不安定になり、心身症や精神疾患になるリスクがあります。


また、自己催眠に入りプラスの暗示をかけることによって消し去られた記憶とネガティブな感情を書き換えようとするワークもあると聞きます。

 

ですが、これらの記憶と感情は消えたわけではありません。

 

無意識(潜在意識)の奥に押し込まれたために意識(顕在意識)に現れなくなっただけなのです。

 

問題が起こるたびにプラスの暗示を上書きしてネガティブな感情が起こらないようにする。

 

このようにプラスの暗示をかけて物事がうまくいっている時はいいのですが、うまく対応できなくなると破たんをきたします。

 

なぜかと言いますと、今まで閉じ込められてきたネガティブな感情が一気に出てこようとするからです。

 

話は変わりますが、トラウマ(心的外傷)を抱えている人は、普段、その時の記憶を思い出すことができないと言われています。

 

ショッキングなことが起こると催眠状態に入りやすくなることは以前の投稿で書きましたが、トラウマになる出来事が起こったショックで催眠状態になり、無意識のうちに精神的苦痛から回避するために思い出さないように自己暗示をかけてしまうと考えられます。

 

ですが、抑え込まれたネガティブな感情は当時の記憶と共に、突然、鮮明な記憶(フラッシュバック)として表れます。

 

トラウマを抱えた人が唐突に、トラウマの原因となる出来事をフラッシュバックするのは、無意識の奥に追いやった記憶が唐突に表れるからだと考えられます。

 

トラウマのようなケースでだけでなく、自己催眠に入りプラスの暗示をかけ続けた場合も無意識(潜在意識)の奥に追いやられたネガティブな感情は、意識(顕在意識)に出る機会をうかがっています。

 

なぜならば、ネガティブな感情は、身の危険を知らせるために必要なシグナルだからです。

 

身の危険がなくなるまで出し続けるための感情ですので、意識(顕在意識)で認識するべきものです。

 

このことを認識できるから、そこから逃れたり攻略する対策を立てることができるのです。

 

ですので、たとえストレスを意識(顕在意識)で認識していなくても無意識(潜在意識)では、身の危険を知らせるためにシグナルが働き続けます。

 

いわば、四六時中、心身共に正体不明のストレスに苛まれて安心できない状態です。

 

トラウマを抱えている人がフラッシュバックが起こらない時でも緊張状態にあり、正体不明の不安に駆られるのは、そのためです。

 

このようなことが長く続くと、自律神経のバランスが乱れ、精神が病み、心身共に破たんをきたします。

 

このことから考えても、意図的に自己催眠やプラスの暗示といった方法でネガティブな記憶と感情を消し去り続けようとする行為はとても危険なことだと言えます。

心の病

今まで、心身症や精神疾患の人と接する機会が多くありました。

 

その方々に共通していることは、感情を感じることができないという点です。

 

私は心理の専門ではなく身体の方が専門だったので、このことは不思議でなりませんでした。

 

今になって思えば、感情を感じることができなくなるのは、催眠と自己暗示によって感情に蓋をしてしまうことが原因となっているように思います。

 

心身症や精神疾患の人の中に、子供頃から新興宗教に入っていて心の病気になった人もいました。

 

このような場合、宗教の儀式によって催眠状態に誘導され、そこでマインドコントロールをかけられることで感情に蓋をされることが原因だと考えられます。

 

ですが、そのような背景がなくても感情を感じない人もいました。

 

現在社会、宗教という特殊な環境がなくても、一家に一台当たり前のようにあるテレビやゲーム、スマートフォンなど催眠状態に入りやすくする機械によって催眠状態に入りやすい環境下にあります。


このような環境下にありますので、無意識の内に自己催眠に入りネガティブな感情と記憶を消し去るように暗示をかけ続けることで感情に蓋をしてしまう人もいるのかもしれません。

 

のような人は、幼い頃、安心できない家庭環境下で育ってきて、安心を得るために自らのネガティブな感情を消し去ることで家庭内で波風立てないようにするために「良い子」を演じるのではないでしょうか。

 

自己催眠に入り「良い子」を演じるように自己暗示をかけ続ける。

 

「良い子」の自己暗示がうまくいっている時には大きな問題は起こりません。

 

ですが、自己暗示が通用しない出来事が起こった時、溜まりに溜まっていた感情のダムが一気に崩壊し、正体不明のネガティブな感情によってパニックになります。

 

このことが、心を病んでしまう原因の一つになると考えられます。

 

マイナスを消すための暗示ではなく、プラスの暗示だから大丈夫だと思われる人もいるかもしれません。

 

ですが、自己催眠に入り、ネガティブな感情をなくそうとする点では全く同じことです。

 

ネガティブな感情や記憶は、危険を察知するために必要なシグナルなので、生きていくうえで大切なものです。

 

なので、意識(顕在意識)で認識できない状態でも無意識下(潜在意識)の奥でシグナルを発し続けようとします。

 

そのシグナルに無意識(潜在意識)が反応して身体や精神にストレスの反応として表れるのが心身症や精神疾患だと考えられます。

 

このように考えると、安易に自己催眠に入りプラスの暗示をかけ続ける行為は、心身症や精神疾患を誘発する恐れがあると言えます。

依存心

自己催眠のルーツは宗教であり、自己催眠は宗教という特殊な環境下で行われるべきものですので、我々一般人が安易に取り入れるのは危険です。

 

自己催眠を意図的に行っている人には辞めることを勧めますし、無意識で行ってしまっている人には気が付いてもらいたいと思っております。

 

特に現在社会、テレビやゲーム、パソコン、スマートフォンなど、催眠状態に入りやすいものにあふれており、催眠状態に入りやすい環境下にあります。

 

また、子供も自然の中で友達と遊ぶようなことができない環境下にあり、決められたルールの中で行われる遊びによって創造性や行動力が培われず、このことで思考が育たず、自立しにくい環境下でもあります。

 

そうなると、人や物に依存する傾向が強くなります。

 

依存心が強く自分で行動を決められない人は、催眠にかかりやすいと言われています。

 

自己催眠に入り「良い子」を演じるためのネガティブな感情を打ち消すような暗示をかけ続ける背景にあるのは、人の顔色をうかがいながら人に行動を決めてもらうように、人に依存するしかない環境にあるのだと思います。

 

「では、自ら自己催眠に入いることでもプラスの暗示であれば依存ではないのでは?」と思うのかもしれません。

 

しかし、厳しい現実を見据えずにネガティブな感情と向き合うことを放棄するという意味では、自己催眠とプラスの暗示も、その手法に対する依存だと言えます。

 

無意識の奥に追いやったネガティブな感情や記憶は決して消えることはありません。

 

なぜならば、過去の記憶や恐れ、不安といった負の感情は、危険を知らせるためのシグナルだからです。

 

プラスの暗示がうまくいっているうちはいいのですが、うまくいかなくなると、ある日、突然、今までため込んでいた感情と記憶が一気に甦ってきます。

 

そうなると、パニック状態になり、そのことが原因で、心を病む原因となるのでは?と考えました。

 

私が、今まで見てきた人の中にも、そのような人はいました。

 

その当時は、なぜ心を病んでしまったのか?分かりませんでしたが、マインドコントロールや変性意識や催眠について検証をしていく過程で、このようなことが考えられるようになってきました。

 

不快な感情は危険から回避するためのもので、怒りは自己を侵害しようとするものから身を守ろうとするための感情だと考えると、安易に負の感情を解除してしまうと、危険を知らせるシグナルを止めてしまうことになります。

 

そのことは人生を送る上で、とても不利益なことです。

 

「なぜこのように感じるのか?」ということに目を向けなければ、危険を回避することなどできません。

 

催眠に入りポジティブな価値観を植え付けて負の感情にふたをするのではなく、現実を直視して負の感情と向き合うことが自己を構築するために必要なことだと思うのです。

 

では、どうすればいいのか?

人が持つ本来あるべき姿

結論から言いますと、催眠などの変性意識状態にならないようにすることです。

 

潜在能力=潜在意識という認識があると思いますが、潜在意識にアプローチしなくても潜在能力を引き出すことはできます。

 

その方法とは、「身体のバランスを整える」ことです。

 

なぜ、身体のバランスが整うと潜在能力を引き出すことができるのでしょうか?

 

それは、身体のバランスが整うことで筋肉や神経に余計な仕事をさせずにすむからです。


このことで、脳の働きに余裕が生まれ、脳の感覚の情報を処理する能力が高まることによって五感が鋭くなったり、直観力が高まったり、集中力が高まったり、心身共にリラックスする状態になります。

 

この状態は、いっけん催眠に入った時の状態に似ていますが、意識の狭窄は起こらず、むしろ意識が広がり、清明度が高まります。

 

変性意識(催眠)状態ではないので、意識(顕在意識)はしっかり働いています。

 

むしろ普段意識できないところを意識できるようになるので、多くを占めている無意識(潜在意識)の領域が狭くなり意識(顕在意識)の領域が広くなると考えられます。

 

これは、催眠状態に入らずに、無意識の領域を意識できるようになるということを示し、言語的思考を司る大脳皮質の左半球と直感的感覚を司る大脳皮質の右半球、これらをつなぐ脳梁、情報を統合する大脳皮質の前頭連合野など脳全体の働きが活発になり、それらを結ぶ神経のネットワークがつながりやすくなると考えられます。

 

なぜ、身体のバランスを整えるだけで脳の機能が活性化されるのか?

 

身体のバランスを整えることで、二本足で歩き体を支えるために必要な高度な姿勢制御能力が活性化されるからです。

 

二本足で体を支えて歩き、二本足で体を支えながら道具を使うために腕を動かすといった何気なく行っている動作を円滑に行うためには、高度な姿勢制御を行う必要があります。

 

これらを担っているのが体幹部の脳との神経のネットワークであります。

 

もし、身体の歪みが強ければ体幹部の動きが悪くなり、体幹部と脳とをつなぐ神経のネットワークの働きが悪くなり、脳に届く情報が少なくなり、脳の機能に偏りが生じます。

 

身体の歪みにより、脳の機能が低下してしまうのです。

 

ですので、身体のバランスを整ることで脳の機能が活性化されるのは、そのためです。

 

人間は、身体の多少、身体の歪みが強くても生きていけます。


もし、四本足で動く野生動物でしたら、身体のバランスの崩れは動きの悪さに直結し死活問題となります。

 

なぜならば、野生で生きていく上で動きが悪くなると、肉食獣でしたら獲物を捕らえられなり、草食獣でしたら肉食獣の餌になってしまうからです。

 

人が身体のバランスを崩しても高度な脳の処理能力によって築き上げられた文明のおかげで、体の動きの質が死活問題にならずに済んでいるだけです。

 

ただ、骨格のバランスが崩れると身体のバランスを取るために脳の処理能力を多く使ってしまいます。

 

なぜかと言いますと、骨格のバランスが悪くなると骨格が傾くので、筋肉を使って骨格が傾かないように支えるからです。

 

筋肉の収縮の指令を出すのは脳ですので、骨格の傾きを制御する働きも脳が行っています。
ですが、その制御は無意識(潜在意識)のうちに行われるので、意識(顕在意識)には認識することができません。

 

ということは、身体のバランスが崩れるだけで、知らないうちに脳に大きな負担を強いていることになります。

 

身体のバランスを整えることで、骨格を支えることに使っていた脳の処理能力分の容量が節約することができる訳です。

 

その余剰分の脳の機能が使われやすくなるので、普段意識できないようなことも認識できるようになり、潜在的に持っている能力が発揮されやすくなると考えられます。

 

人は、本来の能力を発揮しきれていないと言われるのは、体を支えるために脳の処理能力を無駄使いしているからです。

 

このように考えると、身体のバランスを整える動作を継続して行うことで人の持つ能力がフルに発揮することができるようになることになります。

 

この方法でしたら、意識(顕在意識)を使いますので、制御ができて安全です。

 

わざわざ不自然な催眠状態になって無意識(潜在意識)の働きを引き出そうとする制御不能な危険な状態にする必要などありません。

  • 身体のバランスが整った状態

この状態が、人の持つ本来の姿であると思うのです。