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身体が作る心

「心と体はつながっている」

 

という言葉を耳にしますが、このことに私は違和感を覚えます。

 

なぜならば、「つなぐ」とは違うものを結びつけることだからです。

 

なので、心と体、全く違うもののようにとらえている証拠です。

 

心と体はつながっているのではなく、「心は体」「体は心」なのです。

 

例えば物を取る時、必ず先に「これを取ろう」とする心が働きます。

 

取ろうとする心が働くことで、腕を伸ばして物を取るという行動がなされるのです。

 

物を取ろうとする時、腕を伸ばすことは意識できると思いますが、実は、腕以外の部分も動かしています。

 

手で物を取るには、手を伸ばすだけでは物を取ることはできません。

 

この時、体の動きのバランス取るために体幹部が微妙に動いて身体の重心をコントロールしているのです。

 

例えば、腕を前に出すと、出した腕と同じ側に重心が動きます。

 

この時、体幹部の骨(背骨・肋骨)が腕の動きをリードしています。

 

そして、物を取って持ち上げようとする時、今度は体幹部が微妙に動き体の重心を後ろに移動させます。

 

重い物でも軽い物でも、物と持ち上げるためには体幹部が微妙に動かなければ、いくら軽い物であっても物を持ち上げることはできないのです。

 

このように、腕を前に出す、物を持ち上げるといった行動を起こす時に手や指、腕など体の末端の部分だけが意識(顕在意識)されますが、身体のバランスを取るための重心をコントロールする体幹部の微妙な動きは無意識(潜在意識)のうちに行われています。

 

このように、物を取るという動作一つをとっても、まず「取ろうとする」心が働き、腕を動かす意識と体幹部の動きをコントロールする無意識の働きによって物を取るという行動がなされます。

 

このように、心が体を動かしている面があるのです。

 

その反面、体の状態が心に反映されることもあります。

 

例えば、「何か食べたい」という欲求が生まれるのはおなかがすいた時です。

 

この時、胃の中が空っぽであったり、血糖値が低くなったりしたのを空腹中枢が感知することで「食べたい」という欲求が生まれます。

 

そして、その欲求を満たすために、買い物に行ったり、外食したり、料理をしたりなどといった行動を起こし、食べるという行動を実現することで欲求が満たされます。

 

ふと、漠然とした不安を覚えることはありませんか?

 

こんな時、たいてい、みぞおちの辺りが固くなっています。


みぞおちあたりの緊張が解けると、不思議と不安が解消されます。

 

このような時は、体の状態が心に反映されています。

 

なので、「心と体はつながっている」のではありません。

 

「心は体」「体は心」なのです。

 

ですが、我々は、心の問題を解決しようとする時、言葉だけを使おうとします。

 

たしかに、言葉が心に反映されることは多いのは事実です。

 

ですが、心が体を動かすことや体の状態が心に反映されることを考えると、心の問題を言葉だけ解決するのは無理があります。

 

さらに突っ込んで考えてみると、言葉も動作です。

 

言葉という手段で心を伝えようとするのが会話という動作であり、文字を書くという動作であり、今の時代でしたらブログ書くためにキーボードを打つという動作です。

 

口(あごと舌)を使って言葉を話したり、指を使って文字を書いたりキーボードを打ったり、耳を使って話(言葉)を聞いたり、目で文字を見たりしています。

 

このように、我々は言葉を発したり受けたりするために身体を使っているのです。

 

そして、心を伝えているのは話や文字だけではありません。

 

心を表現しようとする時、必ず身体のどこかが無意識のうちに動かしています。

 

このことを身体言語と言います。

 

ですが、これらの動作は、無意識(潜在意識)で行われているので、意識(顕在意識)で認識できません。

 

なので心理学では、発する言葉はもちろん、視線やしぐさ、表情など無意識(潜在意識)で表れる動作によって「どのような心理状態なのか」ということを調べます。

 

心によって体が動き、体によって心が生まれているのです。

 

人は、葛藤を覚えたり、行動しようとしても尻込みして実行できない時など、心に問おうとします。

 

ですが、それらは心の問題ばかりではありません。

 

実は、体の状態が心に反映されているのです。


行動する際に無意識(潜在意識)で行われる身体のバランスを取る体幹部の微妙な動きと、それをつなぐ肩甲骨や股関節のまわりの動きが悪くなっていると、体が言うことを効かないため
「行動に移せない」心に反映されてしまうのです。

 

そうなると、思っていてもすぐに行動に移せなくなります。

 

心の中(言葉)でいくら立派な誓いを立ててもすぐに実行に移せないのは、そのためです。

  • 体の状態が心に反映され、心によって体が動く。

心の問題を解決しようとしたり、心の力を発揮したいと思うのであれば、

まず、

  • 心(思い)の通りに動かせる身体を作ること。

そのために必要だと考えているのが、 脱力する身体を作ることだと思うのです。