カラオケでは使えない声の「ダブル共鳴」

一時期、カラオケの番組が流行ってた時に、曲を歌った本人がカラオケの伴奏で歌っていました。
本人なので、聞き覚えのある通り(CDなど)にそって歌っているように聞こました。
それにも関わらず、音程を表示するバーは本人のものとは異なるものでした。
私の耳には、本人の音程のほうが合っているように聞こえましたが、採点はそうではありませんでした。
 
それに対して、本人ではないカラオケ上手な人が歌うと、原曲の音程とは違うように聞こえたにも関わず高得点を出していました。
はじめは、???でしたが、その理由がわかりました。
原曲は音程が複雑な揺らぎがあるように聞こえるのに対して、カラオケで表示される音程バーのメロディーラインは原曲に比べて単調になっていたのです。
もし、歌が上手くなりたい!
と思って練習している方で
  • カラオケが上手くなりたい
という方は、脱力クリエイトの提唱する「ダブル共鳴」はおすすめできません。
これには、二つの理由があり
  1. ガイドメロディ
  2. エコー
です。
「ダブル共鳴」を使うと、表現豊かな声になってしまいます。
ですが、ガイドメロディが入っている状態で表現を豊かにすると音痴に聞こえてしまいます。
なぜかと言いますと、表現豊かな声の持ち主には例外なく倍音が含まれているからです。
倍音とは、ざっくりと言えば、基の音に他の音が混ざった音のことです。
例えば、ドの音があるとします。
ドの音の倍音は、1オクターブ上のドの音、そして1オクターブ高いソの音と2オクターブ高いミの音があります。
なので、ドの音を出すと、これらの音が混ざってしまいます。
人の耳はとても精度が良く、あまり気が付かないガイドメロディの音でも、ガイドメロディの音と歌声との差を聞き分けてしまいます。
カラオケで倍音を聞かせた表現豊かな歌い方をしてしまうと音痴に聞こえ、採点機能の点数で高得点を上げることができなくなってしまいます。
また、共鳴によって倍音が作られるので、倍音が多い人は強い共鳴を起こすことができるため声量が大きくなります。
エコーのように人工的に共鳴を増幅させている設定で倍音を効かせた歌い方をしてしまうと伴奏に対して歌声が浮いてしまいます。
 
カラオケでは「ダブル共鳴」を使わない方が良い理由になります。

カラオケでの練習を勧められない人とは

反対に、
  • 生演奏のボーカルになりたい
  • 歌手になりたい
と思っている人はカラオケで練習することはおすすめできません。
この理由も、ガイドメロディとエコーです。
カラオケにはガイドメロディーが入っています。
そのため、ガイドメロディに音を合わせる癖がついてしまい、ガイドメロディの通りにしか歌えなくなってしまいます。
また、倍音を効かせた歌い方をしてしまうとガイドメロディに反する音が出てしまうため「この音程は間違いだ」と誤認してしまい、倍音を使うことを禁じてしまいます。
なので、ガイドメロディに沿った表現の乏しい単調な歌声を正解だとしてしまいます。
そしてエコーですが、エコーによって人工的に共鳴が作られると自身で共鳴を起こすことができなくなります。
カラオケでは、エコーがある程度かかる設定になっています。
なので、エコーがかかっていることに気がつきません。
ですが、生演奏ではほとんどエコーをかけません。
そこで、自分の声量不足に愕然としてしまい、強く息を吐き出すようにしようとします。(ボイトレで勧められる腹式呼吸による発声法がその最たるものです)
そうすると、声の響きをコントロールできなくなり、表現力の乏しい単調な歌い方になってしまいます。
カラオケで練習することをおすすめしないのは、このような理由からです。

生演奏で活きる「ダブル共鳴」

ガイドメロディやエコーがあると楽に歌えますが、倍音が多い声ではガイドメロディやエコーは豊かな表現を妨げる邪魔者でしかありません。

 

しかし、生演奏では倍音が幅を利かせてくれます。

 

生演奏ではガイドメロディなどないので、コード進行に従っていれば原曲のメロディー通りに歌う必要はなく、それだけ表現の幅が許されます。

 

そして、倍音が多くても問題ありません。

 

なぜならば、楽器自体が倍音だらけだからです。

 

そして、何より伴奏で使われるコード(和音)は、倍音によって生じる音そのものです。

 

例えば、Cのコードはド、ミ、ソですが、

ドの3倍音がソ、5倍音がミ

なので、Cのコードはドの倍音で構成されていることになっていることになります。

 

そして、倍音が多い人は、声量も高いです。

 

これは、倍音も声量も共鳴によって作られるからです。

 

特に「ダブル共鳴」では、鼻腔と胸郭が同時に共鳴するため倍音の量も声量の幅も広がります。

 

豊かな表現とは、音のコントロールと声量のコントロールによって成立します。

 

ダブル共鳴」による発声法は、生演奏であれば倍音を利かせた声によって、豊かな声量と豊かな表現を与えると言っても過言ではありません。