何気なく2本足で歩いていますが、2本足で歩くって、とても難しいことです。
「ASIMO(アシモ)」のような二足歩行のロボットは存在しましが、アシモは人の二足歩行とは異なる原理で行われてるそうです。
ASIMO と人との大きな違いとは?
それは、背骨です。
ASIMOの胴体(体幹)は、ガッチリと硬い構造になっています。
それに対して、人間の胴体(体幹)は硬い背骨を軸にして、胸や背中は肋骨に囲まれていますが、腹部には背骨と骨盤以外には骨がありません。
その上、肋骨も柔軟に動くようになっていますので、とても不安定な構造です。
直立させようとしたら、胴体部分を硬くした方が安定します。
ですが、人は硬くした方がいい胴体部分が一番柔らかいのです。
このような構造は、四足歩行の動物にとっては都合が良いのですが、二足歩行にとっては都合は良くありません。
この構造で身体を直立させようとしたら、姿勢制御のシステムがとても複雑になってしまいます。
ASIMO を設計する段階では、人の二足歩行のシステムを再現しようと試みられたみたいですが、姿勢制御のシステムが複雑で再現できないことに気がついて設計を変更し、今の歩行システムが採用させたと聞いたことがあります。
今の技術を持ってしても再現できないようなことを当たり前のように行っているのが、人間の2足歩行です。
私自身も、体の不自由になった人のリハビリを行っていたので、立つこと、歩くことの難しさは痛感しています。
実際に、人の機能を十分に活かすような歩き方ができている人はほとんどいません。
その理由は、背骨が有効利用されていないためです。
背骨が活性化された理想に近い歩き方ができれば、まず、肥満になることはないでしょう。
そして、肩こりや腰痛などの不調も起こしにくくなり、膝や股関節の変形なども起こりません。
何気なく行われている歩く動作。
これを洗練させていけば、特別な運動をしなくても体が引き締まり、十分なダイエット効果を得ることができるのです。
そのための3つのポイントを述べていきたいと思います。
美脚になる歩き方
まず、歩きの基本です。
その前に、良い立ち方ができなければ、綺麗な歩き方はできません。
そのための姿勢です。
立つ姿勢は、
- 足の裏に均等に体重を乗せる
- 脛骨で支える
- 体幹(胴体)を上下に伸ばす
- 視線を前に向ける
ことがポイントです。
このように立つことができれば、足が軽くなり、歩きやすくなります。
そして、歩く時にポイントになるのが、後ろ足の使い方です。
歩くことを意識すると、たいていの人が「足を前に出そう」とします。
ですが、そう思ってしまうと疲れるばかりで、なかなか前に進んで来れなくなります。
そう「足を前に出そう」と思ってはいけません。
そう思ってしまうと、歩くのに対してブレーキをかける筋肉が強く働いてしまうからです。
その筋肉の名前が、
- 大腿直筋(太ももの前)
- 大腿2頭筋短頭(太ももの裏)
で、
- 大腿直筋は、立脚時
- 大腿二頭筋短頭は、遊脚時
にブレーキになります。
ブレーキをかけながらアクセルを吹かすようなものですから、疲れて当たり前です。
そして、頑張って継続しようものなら脚だけ不自然に太くなってしまいます。
これは、歩く時に、これらの筋肉が使われてしまうことで歩きの運動パターンが崩れてしまうからです。
そうなると、アクセルのために使われる
- 内側広筋(太ももの前)
- 中間広筋(太ももの前)
- 外側広筋(太ももの前)
- 下腿三頭筋(ふくらはぎ)
などの筋肉がブレーキ筋として働いてしまいます。
美脚になるための筋肉として「ハムストリング」が知られています。
ですが、この情報は正確ではありません。
ハムストリングとは、大腿の裏の4つの筋肉の総称です。
このうち、歩く時に使われるのが、
- 半腱様筋
- 半膜様筋
の2つです。
この二つの筋肉が歩く時の主役になります。
主役筋を働かせるためのポイントになることが、
- 後ろ足(支え足)を地面に残す
ことです。
主役筋は後脚の膝を伸ばす筋肉ですので、後ろ足を地面に残すように歩くと、後脚の膝が伸ばしやすくなります。
そうすると、股関節が後ろに回転(股関節の伸展)して、歩幅が広がります。
主役筋である
- 半腱様筋
- 半膜様筋
は、股関節と膝関節とを跨ぐ筋肉(2関節筋)ですので、主役筋が働くと股関節伸展と膝関節伸展が同時に動きます。(太ももが後ろに動くのと同時に膝が伸びる)
この主役が働くことで、
- 内側広筋(太ももの前)
- 中間広筋(太ももの前)
- 外側広筋(太ももの前)
- 下腿三頭筋(ふくらはぎ)
などがアクセル筋として働き、脚の筋肉がバランス良く鍛えられます。
これが、美脚効果のある歩きです。
ウエスト引き締めるバックの持ち方
ただ、買い物に行く時には、手ぶらではいられません。
バックを持ちますし、買い物をしたら、その分、荷物も増えます。
なので、何も持っていない時のようにうまく歩くことができません。
その大きな理由が、
- 歩く時の姿勢が崩れてしまう
からです。
荷物を持つと、荷物を持つ側に体が傾いてしまいます。
例えば、荷物を左側に持つと体が左側に傾き、右側に持つと右側に傾きます。
しかし、そのままでしたら、立つことも歩くこともできないので姿勢制御能力によって荷物を左側に持つ時には胴体(体幹)を右側に傾け、右側に持つ時は左側に傾けて重心を安定させようとします。
それだったら、リュックだったら均等になるのでは!
と思う人もいるかもしれませんが、リュックをからうと猫背になってしまいます。
これは、リュックをからうことで重心が後ろに傾き、その瞬間、姿勢制御機能の働きにより重心を安定させるために背中が丸まるからです。
これらのことのように、荷物を持つだけで重心を安定させようとして姿勢を崩してしまうのです。
このように考えると、人の持つ姿勢制御能力は素晴らしい反面、不完全な物でもあります。
なので、姿勢制御の能力をフル活用するためには、意図的に姿勢を維持する試みが必要だと言えます。
そのための試みが、脱力動作法なのです。
具体的に言えば、片方に荷物を持った時に姿勢を崩さないようにすることです。
そのためには、荷物を持った時に足の裏にかかる体重を均等にすることです。
そうすれば、姿勢を維持するための筋肉「腹横筋」が活性化されます。
この腹横筋には、ウエストを引き締める働きがあります。
なので、荷物を持って姿勢を維持しようと試みるだけで腹横筋が使われてウエストが引き締まってきます。
この姿勢を維持しながら歩くためにも工夫が必要です。
そのための具体的な方法が
- 荷物を持っていない方の足を意識して残すようにする
ことです。
このように意識するだけで、背骨の動きが活性化され、美脚効果とウエストの引き締め効果が現れてきます。
あと、一つだけ気をつけることがあります。
- 荷物は片方だけで持たない
ということです。
- 右側で持ったら、必ず左側でも持つ
ようにします。
そうすると、左右の腹横筋がバランスよく鍛えられます。
美しいバックの持ち方を心がけるだけで、スタイルUPもできるのです。
階段を見たらヒップUPと思え
買い物などに行って、エスカレーターと階段とがあったら、どちらを選びますか?
私は、迷わず階段を選びます。
大変なのに、なぜ、階段を選ぶのか?
と言いますと、階段の昇り降りがお尻の筋肉を鍛えるのに最適だからです。
平坦な道を歩く時と、坂道や階段を登る時とでは主に使われる筋肉が違います。
平坦な道では、ももの裏の筋肉(半腱様筋・半膜様筋)がメインになります。
それに対して、階段ではお尻の筋肉(大臀筋・中臀筋)がメインになります。
平坦な道でもお尻の筋肉は使われますが、階段ほど多くは使われません。
それは、足を大きく挙げる必要があるためです。
そのためには、股関節を前に大きく回さなければいけません。
そして、股関節を前に大きく回して着地した足で地面を蹴り伸ばすために股関節を大きく後ろに回すために使われるのがお尻の筋肉(大臀筋)です。
もう一つのお尻の筋肉(中臀筋)は、その際に体を支持するために重要になり、お尻を引き上げる筋肉です。
日常生活では、足を前に高く上げて伸ばすようなことが少ないため、お尻の筋肉を使う機会が少ないのです。
そうなると、お尻の筋肉が落ちてしまいます。
加齢と共にお尻が垂れ下がるのは、お尻の筋肉が衰えるからです。
お尻の筋肉は健康と若さのバロメーターでもあり、お尻の筋肉が衰えている人は、おおよそ 腰痛があったり、不調を抱えたりしている傾向があります。
また、見た目のスタイルに大きく影響するため鍛えておきたいところです。
ですが、筋トレでつけるには、なかなか大変な思いをしなければいけません。
そこで、持ってこいなのが「階段」です。
意識的に階段を使う習慣を身につければ、頑張って筋トレをしなくても、知らず知らずのうちにお尻の筋肉を鍛えることができます。
あと、階段登りのメリットに心肺機能の強化があります。
階段を登るためには、平坦な道を歩く以上に多くの筋肉を使う必要があります。
そのために、肺と心臓は多くの筋肉に酸素を供給しなければいけません。
意図的に階段を登り下りを繰り返すことで、肺と心臓の機能が鍛えられてきます。
あと、体幹を伸ばすことを意識しながら登ることでウエストを引き締める効果もあります。
スタイルの良い人、年齢を重ねても若い頃とスタイルの変わらない人は、日常の生活をエクササイズにしている傾向があります。
短い時間だけ集中して運動をするよりも、少ない運動をどれだけ続けられるように工夫をするのか!
このことが、スタイルUPの秘訣だと思うのです。