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運力法レッスンイメージ動画(工夫の必要な合気上げ)

合気上げという武術の技があるようで、私も実際に受けたことがあり、とても不思議な技でした。

 

両手でしっかりと相手の腕を捕まえているのにもかかわらず、いとも簡単に持ち上げられてしまったからです。

 

その方は、体格の良い人でしたので力もあったとは思いますが、力ずくで持ち上げられたような感じがせず、気がついたら持ち上げられていた?という感じでした。

 

私自身は武術の嗜みはありませんが、不思議な技だったので身体動作の解明を生きがいにしているものとしては解明してみたくなり、その原理を数年かけて解明していきました。

【参考記事】合気上げとの出会い(得られた気付き)

 

解明すると原理自体は単純で、普段行われている「物を持ち上げる原理」と全く同じであることが分かりました。

 

ただ、相手は動くことのできる人間ですので、技の掛け合いに伴う駆け引きなどが絡んでくるなど、実行する難易度は高くなることは想像できます。

 

なので、相手が動かない状態という武術的には非現実的だと思いますが、日常生活動作ではとても実用的な動作だと考えています。

 

なぜかと言いますと、現代人は身体に無理のかかる身体動作を平気で行ってしまっているからです。

 

今の世の中、とても便利になりました。

 

その恩恵を受けて生活できることは素晴らしいことですが、その反面、身体の使い方が限定的となり、体への負担が偏ってしまい、それに伴う不調に苛まれる人も増えてきているかと思います。

 

また、全身を使って行う動作が減っているために、身体感覚が鈍くなり、体に負担をかける動作に気がつかず、その疲労が蓄積してしまうのです。

 

この合気上げの動作は、全身の骨を連動させることで全身の筋肉をうまく活用することができます。

 

全身を使った動作を必要としなくなった現代人にとって合気上げは、地面の力(重力)を利用した身体動作を身につけるにはうってつけです。

誰でもできる合気上げの方法

物を持ち上げようとする時、どのように持ち上げていますか?

 

脇を開いて肘を張って肩を上げていませんか?

 

ただ、自分が行っている動作なんて意識することはないのでどうなっているのか分からないかもしれません。

 

もし、

「持ち上げるのがきついなあ」

とか、

「肩が凝ってきた」

とか

「腕が痛くなった」

などと感じたとした、このような持ち方をしてしまっているかもしれません。

 

合気上げは、誰でもできます。

 

実際に、何人もの方に合気上げを教えていますが、すぐにマスターしていただいております。

 

ただ、脇を開いて、肘を張って、肩を上げてしまうとできません。

 

なので、脇を締めて、肘を落として、肩が上がらないような持ち方を指導しています。

 

そうしてから、合気上げをしていただくとすぐにマスターしていただけます。

 

もっとも、動かない状態ですので簡単なのですが。

 

もし、このような簡単な状態でもできないのであれば、

「合気上げは難しい」

という先入観に囚われてしまい、自身でできないようにしてしまっているからです。

 

ここで、誰でもできる合気上げの原理について述べていきたいと思います。

 

まず、相手に腕をしっかりと捕まえてもらい体重をかけてもらいます。

この時、自分の意識が腕を掴まれたところに向いてしまいます。

 

そうすると技をかけることができません。

 

なぜならば、掴んでいる相手も倒されないように頑張るからです。

 

相手も動く人間です。

 

技を掛けようとする人の加える力の加減を無意識のうちに察知して重心をコントロールして倒れないように姿勢を保とうとします。

 

そうなると、技を掛けようとする人は肩や腕に力を入れようとしてしまいます。

 

これが、合気上げが難しい大きな理由です。

 

ここで、意識を掴まれているところではなく「肘」に意識を向ければ簡単です。

 

なぜかと言いますと、体重をかけて押さえ込むという行為は捕まえている人に寄りかかっている状態だからです。

 

脇を締めて肘を落として肩が落とすような身体の使い方を守ってさえいれば、寄り掛かった人を持ち上げることは簡単です。

 

寄りかかるということは、技をかける人の体重の支持面に乗せてくれているからです。

 

そこで肘を曲げれば、掴んでいる相手を支持面の中に引っ張ることができ、相手は自由を奪われます。

 

これが、誰でもできる合気上げの原理であり、物を持ち上げる動作の原理です。

工夫が必要な合気上げの方法

ただ、合気上げのできる人は相手に寄りかかるようにして掴んではくれません。

 

このような人は、合気上げの原理を知っているからです。

 

このような人は、自分の重心を支持面に乗せた状態で掴んでいます。

【参考記事】合気上げの破り方(物を持ち上げる動作とは)

このような人には、誰でもできる合気上げでは対応できません。

 

なので、誰でもできる合気上げが行えるように工夫をする必要があります。

 

実際に、この動画でモデルになった方には「誰でもできる合気上げ」はかかりませんでした。

 

しっかりと自身の重心を掴んでいたからです。

 

当初は、「誰でもできる合気上げ」で動画を作るつもりでしたが、モデルの人の身体感覚が良かったので、今までブログなどで書いてきた「誰でもできる合気上げ」と、「工夫の必要な合気上げ」を追加した動画へと変更しました。

 

イメージ動画だったので、最初にわざと技のかかる姿勢をとってもらい「誰でもできる合気上げ」を撮影しました。

 

次に、かからなかった時の姿勢をしてもらい、再度行ったのが「工夫の必要な合気上げ」です。

 

この合気上げの時、技をかけられるようにした工夫とは、

「一瞬、腰を落とす」

ことです。

そうして自分の重心を落としてから肘を曲げています。

 

そうすると、一瞬、掴んでいる相手が自分に寄りかかっている状態になります。

 

その隙に肘を曲げて相手の重心を奪います。

 

この原理は、腰よりも少し低いところにあるものを持ち上げる時に使う体の使い方です。

 

なので、これも誰でもできるかもしれませんが、技を掛けようと腰を落とす動作を察知されれてしまっては技をかけることはできません。

 

ほんの一瞬のスキを狙うことと、腰を落としていることを悟られないようにする身体操作法が必要になります。

運力法レッスンイメージ動画

この動画で行った合気上げは、ほんの一例でしかありません。

 

そのほかにも方法があると考えられ、分かりづらいぐらい精巧な方法もあるでしょう。

 

工夫の必要な合気上げを成功させる秘訣は、背骨の動きにあります。