脱力クリエイトでは、脱力する身体を作るワークのレッスンを行っております。
身体の脱力が得られることで心理面での効果も表れ、心も軽くなる効果もあります。
しかし、思考のパターン、考え方や物事の捉え方を見直さないと脱力する身体を得られないケースもあります。
脱力するためには、心理面の安定が不可欠だからです。
体の状態が心に反映されるように、心の状態が体に反映されるからです。
よく「心と体は繋がっている」と言いますが、そうではなく、心は体、体は心なのです。
ただ、心と言っても、体の状態が深く関わる心理と思考(言語)が深く関わる心理があります。
体の状態が深く関わる心理とは、
- 具合が悪かったり
- 痛みがあったり
して調子が悪い時にハッピーな気分になれないように、体の調子に左右される心理状態です。
それに対して、思考(言語)が深く関わる心理とは、言葉によって作られたイメージに左右される心理状態です。
思考が深く関わる心理とは
言葉とイメージ、一見すると真逆のコトのように感じるかもしれません。
しかし、そうではなく、言葉とは自身の思い描いたイメージを相手と共有するためのものです。
例えば、「リンゴ」と言うと、赤い色の丸い、房のある食べ物をイメージでき、それが当然のように思いがちです。
ですが、外国の人に「リンゴ」と言ってもリンゴをイメージすることができません。
英語圏の人に「Apple」と言わなければ伝わらないのは、「Apple」と言う言葉が「赤い色の丸い房のある食べ物」を連想(イメージ)させるための共通認識だからです。
英語圏の人たちにとって、この食べ物「赤い色の丸い、房のある食べ物」は「Apple」であり「リンゴ」ではないと言うことです。
このように、言葉とはイメージと区別されるべきものではありません。
切っても切り離せない関係にあるのです。
よく「マイナスの言葉をプラスの言葉に言い換えましょう」と言われますが、その通りで、同じ意味や事柄でも言葉を言い換えることで言葉の意味するイメージがガラッと変わります。
例えば、物事を成し遂げようとする過程、順風満帆に事が運ぶことはまずありません。
必ず、何らかしらの障壁が立ちはだかります。
その障壁を乗り越えることができず、
ある人は、道半ばで諦め、卑屈になります。
またある人は、成し遂げられなかったことに対して未練に囚われ、新たな道を探そうとせず前に進もうともしません。
そしてある人は、楽をして物事を成し遂げようとして他人を頼り、騙され、恨みに囚われます。
それ以前に、成し遂げようとする行動すら起こさず、羨ましがることしかしません。
この障壁をうまく乗り越えられる人は、自分にとって不利益なことが起きてもプラスに考えられるのは、プラスの言葉に変換する努力と習慣が身についているからです。
そうすると、マイナスのことでもプラスのイメージに転換することができ、辛いことでも辛さを軽減させることができます。
マイナスのイメージを抱くことなく物事を進めることができ、困難な障壁があってもクリアすることができるのは、そのためです。
これは、単なる精神論ではなく、脳の性質です。
四足歩行のストレスシステムの名残りによる弊害
脳には、大きく分けて
- 思考を司る大脳皮質
- 本能や感情を司る大脳辺縁系
- 生命活動を司る脳幹
とがあります。
このうち、ストレスを感知するのが大脳辺縁系です。
ストレスとは本来、人間以外の動物にもあり、四足動物のためのシステムです。
多くの動物は、外敵から身を守るために攻撃したり、逃げたりするために身体能力を高める必要があります。
四足動物の身体能力を高めるためのシステムがストレス反応だったのです。
しかし、二足歩行の人間にとっては、このシステムはとても不都合です。
なぜかと言いますと、人の行う作業は手足など、末端を使う動作が多いからです。
また、ストレスがかかったまま動かない状況で待ち続けることも強いられます。
ストレスによる身体システムは、四足歩行を前提としているため体幹部に近い筋肉と脳に血液が集中します。
そのため、手足など四足動物にとっては重要度の低い末端部の機能は麻痺に近い状態になります。
そして何より、ストレスがかかると動くことが前提になっているため動かない状況でストレスに耐えると言うことができません。
あと、人の抱えるストレスの原因の多くが、精神的ストレスによるものです。
しかし、四足動物のストレスシステムは、外敵から逃避ないし闘争することで安全を確保できた時点でストレス反応が解除されるようになっています。
ですが、人間はストレスがかかっているからと言って、
- その場から逃げよう
とか
- 闘ってやっつけよう
などとすることはできません。
多くの場合は、ストレスのかかる状況と向き合って解消するほかありません。
そうであれば、精神的ストレスに対して四足動物のストレスシステムは働かないのでは?と思うかもしれません。
ですが、そうではありません。
このストレスシステムを司る大脳辺縁系は、ストレスの原因を分別することができません。
大脳辺縁系が「ストレス」と感じた時点で、四足歩行のシステムを発動させます。
もちろん、精神的ストレスでも四足歩行のシステムが発動させれてしまいます。
それはなぜなのか?
精神的ストレスが生み出される理由が、嫌な記憶がリピートされてイメージされることです。
例えば、上司に怒られたとします。
その時に、強いストレスを感じました。
その怒られた時の声や情景などが脳に記憶されます。
これは、四足動物が外敵との怖かったことを記憶して、外敵を見つけたら素早くストレスシステムを発動して迅速に難を逃れるためです。
ですが、人間の場合、脳のシステムが優れているため、頭の中で嫌な出来事を繰り返しイメージすることができます。
このことで、上司に怒られた嫌な記憶が繰り返し頭の中のイメージに蘇ります。
そのイメージが蘇るたびに大脳辺縁系がストレスシステムを発動させようとします。
その時には、目の前にその上司はいないにもかかわらず。
このように、イメージとして浮かんだ記憶によってストレスシステムが起こります。
当然、逃げ場などありません。
逃げようがないから、そのストレスを抱え続けることになります。
ストレスシステムは、安心する状況に至ったら解除されるようになっているので短時間で終わることが前提になっています。
そのため、長時間ストレスに苛まれることは想定されていません。
何より、自身の頭の中のイメージしたものによってストレスシステムが発動してしまうことも想定外です。
なので、このようなマイナスになるようなイメージを解消するほかありませんが、記憶を消すことはできません。
では、どのようにすればいいのか?
と言いますと、マイナスの出来事でも自分にとってプラスであったと認識することです。
具体的に言うと、「失敗したけれど、このことを糧に頑張ろう」とか「次からは上司に怒られないように気をつければ大丈夫」などと言う言葉を用いることで、危険なイメージが消え、自身の本能にかかったストレスシステムは解除することができます。
ストレスシステムを解除する丹田力
しかし、このような言葉を用いてもストレスシステムが解除しきれないこともあるかもしれません。
このような時、全身が過緊張状態にあります。
特に横隔膜が緊張し続けていると、呼吸が浅くなり、ストレス状態を解除しにくいです。
なので、横隔膜の緊張を解くことが肝腎になります。
ただ、横隔膜の緊張を解くための手段として呼吸法はおすすめできません。
横隔膜の緊張した状態では呼吸法が行えないからです。
そこで、おすすめなのが「丹田トレーニング」です。
丹田とは、体の胴体(体幹)の核(コア)にあたるところに反映される感覚意識です。
よく聞く丹田は、臍下丹田(へその下にある丹田という意味)で、これは骨盤と下腹部まわりの感覚意識です。
そのほかに、上丹田、中丹田があり、上丹田は頭の骨(頭蓋骨)、中丹田は肋骨(胸郭)の感覚意識になります。
これら3つの丹田には、精神的ストレスに対して大きな効果があり、
- 上丹田は、思考をクリアーにして物事の整理する力
- 中丹田は、呼吸と心拍数を整えて、気持ちを落ち着かせる
- 臍下丹田は、内臓の働きを高めて副交感神経を刺激して物事に動じない精神力を養う
などの効果があります。
これら3つの丹田を作ることで、横隔膜の緊張が解け、ストレスシステムを解除することができます。
3つの丹田の一つである臍下丹田には、精神安定、不動心、精神力の強化の作用があると言われていますが、これらの効果は、丹田を作ることで横隔膜の緊張を解いてストレスシステムが作動しないようになるからです。
四足歩行の名残であるストレスシステムが作動させずに、ストレスフリーの状態を作るための秘訣は、
- 物事の考え方や捉え方を見直す
- 3つの丹田を作る
ことです。
このことで、精神的ストレスを克服することができるようになると考えております。