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脳の働き①(大脳皮質・大脳辺縁系・脳幹)

大脳皮質(大脳の表面)には多くのシワがありますが、その中で深いシワを境に前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の4つに区分され、特に人の前頭葉はほかの動物よりもはるかに大きく、大脳皮質の表面積の約3割を占めます。

 

大脳皮質の働きは大きく2つあります。

 

1つは、比較的単純な情報を処理する一次野とそれ以外の高次野(連合野)があります。

 

一次野には、

  • 後頭葉には目から入った光の情報を処理する一次視覚野
  • 側頭葉には、耳から入った音の情報を処理する一次聴覚野と 舌から入った味の情報を処理する一時味覚野
  • 前頭葉の底部には鼻腔から入ったにおいの情報を処理する一次嗅覚野
  • 前頭葉の後部には、筋肉を動かす指令を出す運動野
  • 頭頂葉には皮膚の感覚や筋肉の動きなどを感じる体性感覚野

などがあります。

 

高次野は一次野の横にあり、意思や思考、記憶などの働きがあります。

 

また、大脳皮質には、表面にある大脳新皮質と内側にある大脳辺縁系とに分かれ、それぞれ働きが異なります。

 

大脳新皮質は進化の過程で発達した領域で記憶や知能、思考など理性的な働きを司っており、鳥類や哺乳類にも見られますが発達の度合いは動物によって大きく異なり、人の場合大脳の約90%を占めるぐらい発達しています。

 

それに対して大脳辺縁系は、哺乳類や鳥類ばかりではなく両生類や爬虫類にも見られ、食欲や性欲など本能的な活動、快感や怒りなどの感情など原始的な情動を担っています。

 

また、大脳辺縁系は記憶のメカニズムの一端を担っているとも言われ、その中でも比較的新しい記憶(短期記憶)を担っています。

 

短期記憶は大脳辺縁系の海馬という所で記憶され、なにがしらの原因で海馬を損傷してしまうと新しい出来事を記憶できなくなると言われています。

 

ただ、記憶に関するメカニズムについては解明されていないことが多く、新しい発見がなされる領域だといえます。

 

大脳辺縁系よりもさらに内部には、脳幹(間脳、中脳、橋、延髄)があります。

 

その中の間脳には、視床と視床下部があります。

 

視床は視覚、聴覚、味覚、体性感覚などの感覚情報を大脳に伝える際の中継地点となり、

  • 目から光の情報は一次視覚野
  • 耳からの音の情報は一次聴覚野
  • 食べ物の味の情報は一次味覚野
  • 皮膚や筋肉などの情報は体性感覚野

といった具合にそれぞれ大脳皮質にある感覚情報を司っている場所へと送られます。

 

また、運動の際の情報は小脳で処理されて大脳に送られますが、この情報も視床を中継していることが分かっています。

 

視床下部は、性欲の中枢としての働き、自律神経の中枢としての働きがあり、体温の調節、食欲の調節、睡眠のコントロール、下垂体で分泌されるホルモンの量の調節などの働きを司っています。(下垂体は視床下部の下に連なっており、数多くのホルモンを分泌している所です。)

 

延髄は、呼吸、心拍数、血圧の調整など生命活動の維持のために欠かせない働きを年中無休24時間行い続けています。

 

また、脳幹の中脳、橋、延髄には脳幹網様体とよばれる神経細胞群があります。

 

朝目が覚めて起きるのは脳幹網様体が活発に働くからで、夜になると脳幹網様体の働きが弱まると眠くなります。

 

睡眠には、いくつものホルモンが関与していると言われておりますが、諸説あり、まだまだ解明されていないことが多いようです。