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呼吸法のリスク(呼吸法の効果と危険性)

呼吸法を実践する人の中には、呼吸法を行っている時だけ深い呼吸ができるけれど普段は呼吸が浅い人もいます。

 

私自身、腹式、逆腹式、胸式呼吸など実践してきました。

 

そこでわかったことは、

「呼吸とは胸郭(肋骨)を中心とした体幹部の連動運動」

ということでした。

 

なので、いくら呼吸を工夫しようしても体幹部の連動運動がうまくできなければ深く呼吸をすることはできません。

 

深い呼吸を行うためには、体幹部の連動運動を円滑にすること。

 

そのためは脱力体(身体軸)を作る必要があります。

 

そうすれば、呼吸法による恩恵を得ることができるようになります。

 

【関連記事】呼吸と自律神経との関係

 

ですが、呼吸法にはいくつか注意しなければならないことがあります。

 

その注意点とは?

呼吸法の注意点

ですが、呼吸法には大きな弊害があり、安易に行うと心身の健康を害することもあります。

 

【関連記事】呼吸法を行う注意点

 

呼吸法を行うと、横隔膜が普段よりも大きく動きます。

 

ただ、体の歪みが強いとおなかの中にある内臓が圧迫されています。

 

この状態で、横隔膜が大きく動いてしまうと内臓がさらに圧迫されて危険です。

 

なので、体の歪みが強いまま熱心に呼吸法を行おうとすると、内臓に大きな負担がかかり、自律神経のバランスが乱れたり、内臓自体にダメージが加わり危険です。

 

なので、呼吸法を行う際には身体に負担のかけない姿勢を心がける必要があります。

呼吸法による変性意識への危険性

呼吸法には、身体に対する危険性があるほかに、精神に対しても危険性があります。

 

なぜそのような危険性があるのかといいますと、意図的に呼吸法を行うことで変性意識状態に陥る危険性があるためです。

 

例えば、物事にハマっている時、呼吸が止まっているか短く速くなっています。

 

この時、横隔膜は過緊張状態にあり、比較的浅い変性意識状態にあります。

 

おそらく、横隔膜が緊張すると交感神経が刺激され、ドーパミンが分泌されやすくなり、変性意識状態に陥りやすくなるのでしょう。

 

数多くある呼吸法の中で最もよく使われている「腹筋を使い息を数十秒かけてゆっくりと吐き出し、数秒間息を止め、横隔膜の伸張反射を使って息を吸う」ことを繰り返す技法で、俗言われる腹式呼吸です。

 

逆に「お腹を凹ませながら息を吸い、息を止めた後に、数十秒かけてゆっくりと息を吐き出す」ことを繰り返す逆腹式呼吸もあります。

 

これらの呼吸法は、おなかの動きが異なり、謳われている効果も違いますが、共通している点もあります。

 

それは、

  • 息を止めたり、長く吐くことで無酸素状態

を作ることです。

 

そうすると、ドーパミンが分泌されます。

 

それは、無酸素状態の苦痛を軽減させるためです。

 

ドーパミンというホルモンは、苦しい時の苦痛を和らげて、生きるための行動を行わせるためにご褒美的なホルモンなのです。

(さらに苦しい思いをするとβ−エンドロフィンという脳内麻薬が分泌され、これがランナーズハイです。)

 

もし、食べ物を探したり、獲物を摂るための行動を「苦しいからやめた」と感じてやめてしまえば飢え死にしてしまします。

 

それを防ぐために、ドーパミンを分泌して、その苦しみを軽減させることで行動を継続することができるようにプログラムされているのでしょう。

 

このような身体の仕組みを利用したのが変性意識に入るための呼吸法なのです。

 

息を意識的に吐き続ける呼吸法を行うことで、酸素不足状態を作ります。

 

そうすると、体が息苦しさに対してドーパミンが多量に分泌されやすくなり、深い変性意識状態へと陥りやすくなると考えられます。

 

息を長く吐くことで横隔膜が極限まで伸ばされ、伸張反射によって横隔膜が強く収縮します。

 

なので、酸素不足の状態は、息を吐いている時と止めている時の一時的なものです。

 

ですが、このような呼吸法を継続して行なっていますと、横隔膜と肋間筋の呼吸筋が過度に伸ばされるため、慢性的に縮んだ状態になります。

 

そうなると、普段の呼吸が浅くなってしまい、呼吸数が多くなる交感神経が緊張した状態にになります。

 

そう、常にドーパミンを出しやすい状態、すなわち、変性意識の陥りやすくなるのです。

 

自己催眠系のワークショップで呼吸法が取り入れられているのは、そのためです。

 

このように、変性意識には心身に対して大きなリスクが伴います。

 

【参考記事】変性意識のリスク(瞑想の危険性)

 

このようなことから、呼吸法を行う際には十分に注意する必要があると考えております。

 

呼吸法によって得られる効果

変性意識に陥りやすいリスクの伴う呼吸法ですが、呼吸法の効果は無視できません。

 

一般的に言われる呼吸法の効果として、

  • 心身のリラックス効果
  • 内臓の活性化

などがあります。

 

ただ、これらの効果は、3つの丹田を作ることで得ることができます。

【関連記事】3つの丹田(上丹田・中丹田・下丹田)

 

脱力クリエイトでも以前は、心身の健康とリラクゼーションのための呼吸法のレッスンを行っていましたが、廃止した経緯があります。

 

【関連記事】「丹田トレーニング」のリニューアルに伴う「脱力呼吸法」の廃止への経緯

 

その理由は、呼吸法は、どのように気をつけて行っていても呼吸筋の過緊張を生む恐れがあり、心身の健康やリラックス効果よりも変性意識に陥るリスクの方が高かったためです。

一般的に知られていない呼吸法の効果として、

  • 身体能力の強化

があります。

 

呼吸によって身体の能力を強化することのできるため、習得すると色々と便利です。

 

ですが、変性意識に陥らないように気をつけなければいけません。

 

なので、身体の構造を熟知して、身体の感覚を研ぎ澄ます必要があります。

 

そうして、はじめて身体強化を図る呼吸が習得できるのです。

 

そのため、それ相応の時間をかける必要があります。

 

脱力クリエイトでは、呼吸法のリスクを把握し、効果が出るように行うための工夫を行っております。