「腰を入れて」とか「腰を落として」などと言われたことはありますか?
このような言葉は、最近ではあまり聞かれなくなったように感じますが、いかがでしょうか?
この言葉を聞いて
- 腰を入れる➡︎背筋に力を入れる
- 腰を落とす➡︎膝を曲げる
というに捉えるかもしれません。
しかし、そうではありません。
腰の位置が現代人が認識している位置と、言葉の示している位置とでは違うのです。
現代人の多くが腰と言うとウエストの後ろの方だと認識していると思います。
馴染みのない話ですが、例えば、着物(和服)を着る時に帯の下に腰紐と言うヒモを巻くのですが、現代の着付けではウエストにこの腰紐を巻きます。
ですが、昔、明治時代初期のあたりまでは、腰紐はウエストではなく骨盤に巻いていました。
現代でも男性の着物の帯は骨盤に巻きますが、女性の着物はウエストが中心になるように巻きます。
しかし、昔、明治初期あたりの写真を見ると女性の帯の下の方は骨盤にかかるように巻いているので、帯の下に巻く腰紐も骨盤に巻いていたと思います。
と言うことは、腰の位置の認識が昔の人と現代人とでは異なっていることになります。
昔の人の腰は、今で言う骨盤を指していたのです。
だから、腰に巻く紐(ヒモ)で腰紐なのでしょう。
このように考えると
- 腰を入れる
- 腰を落とす
の意味合いも変わってきます。
- 「腰を入れる」は骨盤を中心に力を出すこと
- 「腰を落とす」は骨盤を中心に低姿勢になる
と言うことになります。
ただ、骨盤本体の関節(仙腸関節)はほとんど動きません。
なので、骨盤を中心に体を動かすため重要になるのが
- 股関節
です。
人の体の重心は骨盤の内側にあると言われており、股関節は骨盤の両脇に着いているおり重心の動きと関係が深いです。
なので、股関節を中心に動かすと重心も一緒に動くことになります。
腰(骨盤)を使った動作とは、骨盤を中心にして「股関節」を軸にして動かすことだと言えます。
腰を入れると言う意味
腰を入れて動作を行うためには、腰を落とす必要があります。
ですが、「腰を落として」と言うと膝だけを曲げようとしますが、膝を曲げて低姿勢になることではありません。
腰を落とせば膝は曲がりますが、動きの中心が膝ではなく
「骨盤を中心に体を動かす」と言う意味です。
なので、いくら膝をまげて低姿勢にしたとしても腰を落としたことにはなりません。
それは膝を曲げただけで腰を落とたことにならないからです。
言葉だけ聞くと???と思うかもしれません。
見た目が同じような動作であっても動きの認識が異なることで働き(作用)が大きく異なります。
例えば、重い物を持ち上げようとする時
膝を曲げただけでは大きな力を出すことができません。
それに対して、腰を落として持ち上げると軽々と持ち上げることができます。
いっけん同じように膝を曲げて低姿勢な状態を作っているのに、体に対する認識が違うだけで力の出し方(作用)が大きく異なってきます。
膝を曲げることに意識がある時には、膝関節を中心となり、脚の筋肉だけしか使われません。
それに対して、腰を落とすと股関節まわりを中心としてに体全体の筋肉が連動して使われます。
そうすると、脚の筋肉の力が腰を介して腕に伝わり物に力が伝わりやすくなります。
腰を入れるとは、股関節の中心に位置する骨盤を中心に体を動かすことだったのです。
このような動作を身につけるためのエクササイズが「股関節エクササイズ」です。
股関節エクササイズについては、下記のリンクをご覧ください!