冬場になると手足が冷えやすくなり、冷え性の人にとってはつらい季節だと思います。
ただ、夏場も冷房が効きすぎていたり、冷たい食べ物を摂りすぎたりして体を冷やしてしまいがちです。
なぜ、寒いと手足が冷えるのでしょう?
人の体温は、手足などの末端にある血管を広げたり縮めたりすることで調節されています。
人にはホメオスタシス(恒常性)という体内の環境を一定にする働きです。
なので、気温が高くなっても、低くなっても体温も36.5〜36.8℃に収まるよう調整されています。
例えば、
- 体温が高くなると体温を下げるために体内の熱を体外に放出し
- 体温が低くなると体温を上げるために体内の熱が逃げないように
調節します。
暑くなると手足が熱くなり、寒くなると手足が冷たくなるのは、そのためです。
- 手足が熱くなるのは、体温を外へ逃すため
であり
- 手足が冷たくなるのは、体温を逃げない
ようにするためだからです。
「暑い時と寒い時と逆ならいいのに」と思うかもしれませんが・・・。
ですが、そうなってしまうと体温を一定に保つことができなくなり大変なことになり、
- 体温が上がりすぎると体内のタンパク質が変性を起こしてしまい
- 体温が低くなると生命活動が停止
してしまいます。
そのようにならないように、
- 暖かくなっている時は熱が逃げている
- 冷たくなっている時は熱を蓄える
ようとしている
外が暑い時に手足が熱くなる例えで分かりやすいのが、車などのボンネットです。
車のエンジンは燃料を爆発させる力を利用しているため、とても高温になります。
そこで、ラジエターという所でエンジンの熱を放出するため、ボンネットが熱くなります。
もし、ラジエターがなければボンネットはそこまで熱くはならないでしょうが、エンジンに熱がこもりエンジンが焼き切れてしまいます。
ラジエターによって、エンジンの余分な熱が外へと放出されます。
あと、外が寒い時に手足が冷たくなる例えで分かりやすいのが陶器製のコップと魔法瓶です。
コップに熱湯を注ぐと表面が熱くなります。
それに対して、魔法瓶に熱湯を注いでも表面は熱くなりません。
これは、魔法瓶がお湯の熱を保ってくれているためです。
これらの働きを人体で行なっているのが、手足なのです。(肺と肋骨も余分な熱を放熱する器官になりますが、機会があったら記事にしたいと思います。)
このことから、体が冷えると手足が冷たくなるのはごく自然なことです。
ですが、
- 体をいくら温めても
- お布団に入っても
手足の冷えが取れないのであれば、体の深部体温が低くなっている恐れがあります。
あと、稀に寒い日でも手足が暖かいままの人がいますが、このような方は注意が必要です。
体温の調整は自律神経の働きによって行われています。
体温の調整は、脳の中にある視床下部というところで行われ、自律神経を介して手足にある末梢血管に作用します。
体温が上昇すると交感神経の働きが弱まり末梢血管が広がり、このことで外に熱を逃がします。
逆に、体温が低くなると交感神経の働きが高まって末梢血管が縮み、このことで血流量が少なくなり熱が逃げないようにします。
ですが、交感神経の働きが血管に伝わらなかったら、体温が低くなっていても血管が広がりぱなしになり、体内の熱が逃げてしまいます。
熱が逃げると手足が暖かくなるため、感覚的には暖かく感じてしまい、熱が逃げて大変なことになっているにも関わらず薄着をしてしまいます。
そうしてしまうと深部体温が低いのに、さらに深部体温を低くしてしまいます。
気温が低いのに手足が暖かいという人は、体温計で体温を測ってみることをおすすめいたします。
体の深部体温が低くなると、内臓の各器官の働きが弱くなります。
【参考記事】
このことで生命維持に関わる働きが弱くなってしまいます。
このような場合、深部体温を上げるように努めなけれなりません。
そのために、運動をすることが大切です。
手足は、動かすことが前提で作られており、動かすことで熱が作られ、余分な熱は放出されます。
このことで、血流が良くなり、代謝が上がります。
そして、タンパク質を摂ることも大切です。
タンパク質は、筋肉の原料であり、むくみの予防にもなり、食べた時に多くの熱を生み出されます。
あと、睡眠と休息をとることも大切です。
頭を使いすぎると交感神経が過剰に働き、頭に熱がこもり、内臓の働きが弱くなるからです。
【参考記事】冷え性(冷え性を改善するために必要なこと)
深部体温を低くする大きな原因が、ストレスです。
ストレスがかかると交感神経によって内臓の働きが弱くなります。
内臓の働きが弱くなると深部体温が下がります。
深部体温が下がると内臓の働きが弱くなり、さらにストレスに弱くなるという悪循環に陥ってしまいます。
冷え性を改善するためには、内臓力を高めることが大切になります。