よく武術系の動画を見ていると、鮮やかにカッコよく技が決まるシーンを見かけます。
例えば、
- がっちりと掴んだ相手を軽々と鮮やかに投げ飛ばしたり
など、一般人にとっては、その様は、とても不思議です。
このサイトでたびたび取り上げている合気上げなども、その一つです。
これらのような技は、危険がないように特定の設定の元で行われます。
なので、鮮やかに技が決まるとも考えられ、そうでなければ、あのようにはいかないでしょう。
しかし、武術に精通しているお弟子さんにも鮮やかに技を決めているところが疑問です。
なので、
- イカサマ?
- 筋書きが決まった演技?
- 忖度?
と思われてもおかしくありません。
でも、そうであれば、おかしな話です。
なぜならば、強くなりたいと思い、習っているのだと思うからです。
強くなりたいと思っている方々が、先生に対して忖度やイカサマをするとは思えません。
でも、実際は、そのようにも見えます。
この背景にあるのが「催眠」です。
武術の先生方は、弟子に催眠術をかけているのです。
催眠術?と言っても、テレビで行うような「あなたはだんだん眠くなる」とかいうような類ではありません。
ここで誤解を解くと、催眠とは変性意識の一つで「意識が狭窄(狭くなる)する状態」のことです。
【参考記事】
例えば、何かに気を取られてボーとしてしまったり、テレビやスマホを凝視しているのも「催眠」の状態です。
なので、特別な状態というわけではなく、普段、日常でよくある意識状態でもあります。
催眠状態にあると人は、気になったこと以外のものに意識を向けなくなります。
この時、気がそらされて体が硬直してしまいます。
武術の技は、このような催眠状態を巧みに利用して相手の体を硬直させるする技が多く見られます。
さらに、技を成立させるために、
- しっかりと構えたり
- 掴んでもらわう
ことを条件にしています。
何も知らない一般人は、しっかり掴まれたら技なんてかけられない思うでしょう。
これが、催眠術の仕掛けです。
この「しっかり掴まれたら技をかけることなんてできない」という先入観を見事に打ち壊すことで相手を驚かせ「先生のようになりたい」と尊敬の念を覚えさせます。
技の仕掛けを簡単に説明します。
相手はしっかり掴むことで、意識が掴んだ腕に集中します。
その意識の集中こそが「催眠状態」です。
このように催眠状態に陥り、体を硬直させた状態にさせれば簡単に技をかけることができる。
これが、催眠を利用した技のカラクリです。
そして、このような技を見た人も、その技に意識が集中して視野が狭くなり、催眠状態に入り、その場の雰囲気と相まって「先生のようになりたい」と思う人もあらわれます。
このような意外性を示したパフォーマンスは、新しい入門者を集めるためはうってつけです。
これが催眠術の第一段階です。
そして入門して、弟子に技をかける際に「もっと強く掴んで」とか言う指示を出します。
強く握れば握るほど、体全体が硬直します。
そして、強く握れば握るほど、意識も掴んだ所に集中し、意識が狭くなります。
そう、これも催眠術です。
そして、技を繰り返してかけることで、催眠が深くなっていきます。
さらに、催眠状態を強くさせる要因があり、変性意識カースト(造語)です。
【参考記事】変性意識カースト(人間関係に潜む背景)
これは、ある武術をテーマにした動画を見ていた時の話です。
関節の柔らかいお弟子さんがおり、他のお弟子さんは関節をうまくいなされて技をかけることができません。
しかし、そこの師匠の先生は、関節の柔らかいお弟子さんにも綺麗に技をかけていました。
技の原理は、動画を見てすぐにわかりました。
ですが、一つ気がついたことがありました。
それは、他のお弟子さんは「あの人には技がかからない」と思い込み、はなっから技をかけることを諦めていたところです。
おそらくですが、
「あの人に技をかけられるのは先生だけだ」
という思いを強くすることで弟子間で、先生に対する畏敬の念を深め、そのコミュニティを強めているのでしょう。
人間は社会的生き物であるため、集団意識が働きます。
師匠と弟子、兄弟子と弟弟子という関係性ができ、その中で一つのコミュニティができ、そのことで安住しようとする欲求が生まれ、無意識のうちにそれに従ってしまいます。
お弟子さんもはじめは、
- 技を上達させたい
- 強くなりたい
と思い入門したと思います。
ですが、コミュニティを優先することで、師匠や兄弟子を超えることができなくなります。
催眠によって、目的がすり替わり、人としての進歩や可能性を妨げる。
これが、催眠や変性意識の恐ろしいところだと思うのです。