深い変性意識における脱力(意識の狭窄による感覚の鈍麻)

変性意識についてよく知っている人であれば、

  • 深い変性意識に入ると脱力できる

ということを知っています。

 

そう、深い変性意識に陥ると脱力する感覚を得ることができるのです。

 

では、なぜ脱力感覚を得ることができるのか?

 

この理由は、2つあり、

  • 体性感覚(筋肉の感覚)が著しく鈍くなることで、体幹部の過緊張を感じなくなる

もう一つは、

  • 体の歪みが強くなり体幹が捻れると、肩から上や手などの力が抜けやすくなる

ためです。

 

深い変性意識によって得られる脱力感覚とは、五感の感覚鈍麻による結果だったのです。


通常であれば、過緊張状態になれば全身の筋肉も過緊張状態(俗に言う「力み」)になってしまいます。

 

人の感情は、筋肉の緊張状態に依存していて、筋肉の緊張を感じていると情緒が不安定になり、ネガティブになる傾向があります。


これは、過緊張によって体の歪みを強くすることで緊張が助長されて、不安が増幅されるためです。


ですが、深い変性意識状態になると、不思議なことに脱力感覚を得ることができるようになります。


これは、体に捻れが加わることによるものです。


細かく述べると、深い変性意識状態によって左右の腹斜筋が不均等に緊張、例えば右の外腹斜筋と左の内腹斜筋が同時に緊張する状態です。


そうなると、体幹のインナーマッスルである腹横筋が過緊張してしまい、体幹部が固定された状態になり、肩から上、手や足などの力が抜けやすくなります。


これは、深い変性意識状態による感覚と感情の鈍麻する作用によって、体幹部の過緊張を感じなくなり、筋肉の過緊張によるネガティブな感情が抑えられるためです。

 

人は、筋肉の緊張を感じないと心が落ち着いているように感じるもので、例え、体幹部が過緊張状態にあっても、そのことを感じなければ精神的にも緊張を感じなくなります。

 

精神的な緊張を感じなければ、安心して筋肉の緊張を解くことができます。

 

これが、深い変性意識状態による脱力の状態です。

脱力体による脱力とは

深い変性意識に陥っている状態でも体のブレがなくなり、脱力することができます。

 

ですが、脱力体における脱力の原理とは似て非なるものです。

 

脱力体の場合、体の歪みを少なくして背骨の動きを柔軟にします。

 

ただ、それでは立つこともできなくなりますので、背骨を立てられるようにコントロールする必要があります。

 

人には、少ない力で背骨を立てられるように姿勢を制御する高度なシステムが備わっており、脱力体では、この姿勢制御システムをフル活用することができます。

 

ですが、無意識のうちに行われるため認識できません。

 

そして、体の歪みが強くなると筋肉で体を支えなければならなくなるため、背骨を制御するシステムが機能しなくなります。

 

このことで、重心のブレが大きくなり、姿勢が崩れ、不安と不満に囚われる中程度の変性意識に陥ってしまうのです。

 

さらに、深い変性意識に陥ると、体の歪みを強くすることで背骨の動きをロックさせるように左右の腹斜筋を不均等に緊張させて、重心のブレを抑えて表層筋を脱力させます。

それに対して「脱力体」による脱力は、骨で体を支えるために骨格の位置を微調整しながら立っている状態のことです。

 

この状態の時、アウターマッスルはリラックスし、インナーマッスルは適度な緊張状態にあります。

 

インナーマッスルの適度な緊張状態を維持するためには、骨格(特に背骨)の位置を身体の構造に沿った位置に調整する必要があります。

 

そうしなければ、

  • 中程度の変性意識のように全身の過緊張、
  • 深い変性意識のような体幹部の過緊張

を作り、体を支えなければならないからです。

 

体の構造に沿った位置に調整することで、筋肉に必要以上の仕事をさせる必要がなくなります。

 

すなわち、姿勢制御システムをフル活用できる状態です。

 

ですが、我々は、必要以上に筋肉を過緊張させています。

 

これが俗に言う「力み」です。

 

「力み」を取るためには、インナーマッスルの過緊張を解くように、骨格の位置を調整する必要があります。

 

これが、大田式調整動作の提案する「脱力トレーニング」です。