内部感覚を研ぎ澄ます脱力動作法の問題点

武術系の身体操作など、内部感覚を研ぎ澄ます脱力動作法があります。

 

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このような脱力動作は、おすすめできません。

 

なぜならば、このような方法では実際の動作に脱力動作を反映されることができないためです。

 

人の身体は、骨で体を支え、骨を中心に身体を動かしています。

 

なので、内部感覚を研ぎ澄まして骨格を操作すること飛躍的に身体機能(パフォーマンス)が向上するように思われがちです。

 

ですが、これは、大きな誤解です。 

 

なぜなのか?と言いますと、体の外(環境)の認識がおろそかになるからです。

 

実際の動作は体の外に目的意識を向けて行うべきです。

 

なのに、内部感覚を研ぎ澄ますことに意識が向けてしまうと目的物に意識が向かなくなるため、実際の動作をうまく行えなくなってしまいます。

 

例えば、ボールを投げて的に当てようとする時、体の動きに意識を向けますか?

 

そうではなく、的に意識を向けるはずです。 

 

ボールを投げる時に体の動きに意識を向けることは、目をつぶってボールを投げるようなものです。

 

目的物に当てることができなくて当然です。

 

武術などのデモストレーションであればいいのかも知れませんが、人や外の環境を相手にするスポーツ、物を作ったりするような仕事に携わっているのであれば、あってはならないことです。

 

もちろん、体の内部感覚はパフォーマンスを向上させるために必要です。

 

ですが、これはあくまでも身体の調整という意味です。

 

このことは、車のレースで例えると分かりやすいです。

 

体の内部感覚を磨くことはメカニック(整備士)がマシンのメンテナンスを行い、マシンの性能をフルに発揮できるように調整することと同じです。

 

そして、実際の動作を行うことはレーサー(操縦士)が実際に、コース取りを考えながらハンドル操作を行ったり、コーナーに入る際のアクセルとブレーキ、ギアの選択をしたりとマシンを動かすことに意識を向けることと同じです。

 

脱力動作が難しいと言われる所以は、何か物事を行おうとする時に内部感覚に意識が濃くなってしまい、体の外にある目標に対する意識が薄くなることにあります。

 

このように、内部感覚に夢中になってしまうと外とのバランスが悪くなり、結果的にパフォーマンスが落ちてしまいます。

 

これが、脱力動作の罠なのです。