現在社会は、西洋科学による解釈が重要視されているため、このような東洋思想のような考えは迷信のように捉えられがちです。
ですが、医療の現場では東洋医学も活用されはじめています。
例えば、昨今問題となっている生活習慣病などです。
西洋医学は対処療法が得意ですが、 生活習慣病については苦手です。
生活習慣病に対しては、東洋医学の方が得意かもしれません。
その理由は、体質や生活環境も視野に入れられるためです。
西洋医学は、外科的な処置や感染症の治療など、生命の危機的状況を回避するための救急医療です。
なので、病気や怪我を的確に分析し、それに応じた手術や投薬を施します。
ですが、生活習慣病は生命の危機に直面しているわけではありません。
そうは言っても、放置していれば致命傷になってしまいます。
そうならないように、
- 血圧が高ければ、血管が破裂する恐れがあるから降圧剤で血圧を下げる
- 血糖値が高ければ、血管が劣化して血液の流れが悪くなるから、血糖値を下げる薬
- コレステロール値が高ければ、血管の中に血栓ができて脳卒中や心筋梗塞になるリスクがあるから血液サラサラの薬
といった具合に、将来起こるリスクに備えた薬が処方されます。
もちろん、このような処置も必要ですが、薬に依存してばかりでいたら悪化するばかりだと知られるようになりました。
そこで、生活習慣病の原因に不摂生な食習慣が考えられるようになりました。
ですが、中には食事を見直すだけでは改善できない人がいました。
さらに調べていくと、
- 定期的に運動をしている人は生活習慣病になりにくい
ということが分かってきました。
そして、生活習慣病の人に運動を継続させたら改善される傾向にあったのです。
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これこそが、東洋医学でいう「気・血・水」の考え方です。
気・血・水の流れが滞ると病気になる
という東洋医学では当たり前の考え方ですが、西洋医学には欠落した考えでした。
生活習慣病の予防と治療に運動が重要だという考えも、東洋医学的な考えで説明ができます。
東洋医学で言われる「気」「血」「水」を西洋医学的に言えば、
- 気とは「神経」の伝達
- 血とは「血液」の流れ
- 水とは「体液(リンパ液)」の流れ
と言い換えることができです。
西洋医学でも病気によって血液の流れとリンパの流れが悪くなることは知られていますが、これは血液とリンパの流れが悪くなることで病気になるという考えではありません。
気については、西洋医学的に言えば神経伝達による電気信号と考えれば分かりやすいと思います。
神経の伝達が悪いと、血流が悪くなり、さらにリンパの流れが悪くなることを経験的に知り、これらのことを体系化したのが東洋医学なのです。
運動すれば、神経の伝達が活発になり、血行が良くなり、リンパの流れが良くなります。
そうすれば、血液の滞りも解消され、リンパ液の滞りも解消され、全身の体液の流れがよくなります。
体液の循環が良くなることで、代謝が良くなり、
- 酸素
- 栄養
が全身に行き渡り、
- 免疫系
の働きも活性化されます。
そうして健康体に戻ることができます。
これが、東洋医学の基本的な考え方です。
ただ、東洋医学的な治療を成功させるためには「気」を理解していなければなりません。
先程、気を神経系と解釈しましたが、これは気の現象の一つであり、気の本質ではありません。
東洋思想でいう「気」の本質は、万物の根源です。
人にも気が備わり、地球にも宇宙にも気が備わっているというのが東洋思想の考えです。
東洋思想では、地球の気と宇宙の気と人の気とが循環して成立していると考えます。
そして、人の体内も気が巡ることで生命活動が営まれていると考えます。
その気の巡りが悪くなれば、血や水の流れが悪くなり、病気になります。
対人関係や土地の気候、天候なども加味されるのは、天の気と地の気、人の気との循環が考慮に入れられているためです。
そう、気の循環こそが東洋思想の根底です。