先日、ベルギーでヨガの先生をされているSaori MiyazawaさんのYouTubeチャンネル『Karakoroチャンネル』に出演しました。
テーマは「しもやけ」
- しもやけの原因
- しもやけ改善法
- しもやけ予防法
などについてインタビュー形式で答えました。
この記事では、インタビューで語った概要と、それよりも少し踏み込んだ内容について書いております。
冬になると、しもやけで悩んでいらっしゃる方も多いかもしれません。
そもそも「しもやけ」とは、凍瘡(とうそう)といい、暖かいところから急に寒冷に晒されることで末梢血管の体温調節作用がうまく働かなくなって血行不調を起こし、そこに炎症を起こしてしまうことで起こります。
このことから、真冬の寒い季節ではなく、平均気温が5℃ぐらいで、日中の寒暖差が10℃前後になりやすい秋から冬に変わる頃や冬から春に変わる季節の変わり目に起こりやすいと言われます。
主な症状は、手先や足先が赤く腫れたり、水膨れになったり、患部が温まる時に生じるかゆみなどです。
動画の中では話が出ませんでしたが、欧米の方は「しもやけ」を知らないという方がほとんどで、しもやけに悩むのはアジア系の方だと聞き、驚きました。
一応、英語にもしもやけに当たる「chilblain」という言葉があるそうですが、現地の人も、その言葉を知らない人がほとんどだそうです。
このようなことから、しもやけは、アジア人特有なのかもしれません。
なりやすい人となりにくい人の違いは、汗をかきやすいかどうかにあると言われています。
欧米人に比べてアジア人は、汗腺という汗を分泌する器官が多いと言われているそうです。
そうだとすれば、欧米人がしもやけを知らなくても頷けます。
ここで、しもやけになる要因について書いたいと思います。
通常、外が暖かくなれば末梢血管が広がり、寒くなれば末梢血管が縮みます。
その状態で、急に冷たい外気に晒されると汗によって急に冷え末梢血管が縮まないうちに、急に温度が下がります。
このことで、急激に血管が縮み、末梢血管に血液が閉じ込められることになります。
このようにうっ血した血液により「しもやけ」を起こすと考えられます。
汗をかきやすい人「しもやけ」ができやすいのは、汗が冷えることで皮膚の熱を奪ってしまうからで、このことが末梢部を急激に冷やす要因になります。
なので、しもやけになりやすい人は、寒暖の差が激しい季節は、足に汗をかいたら小まめに拭くようにすれば、しもやけを予防できると思います。
ただ、日常生活を送っていると、例え足に汗をかいていても、汗をかいているように感じることはしないかもしれません。
なので、外に外出したり、寒い所へ行く前に、靴下を履き替えるようにすれば、しもやけを予防できるかもしれません。
あと、日頃から歩くなど、足をこまめに動かす習慣があると、末梢血管の血行が促進されるので良いと思います。
ただ、日頃からきつい靴や、締め付けの強い靴下などを履いていると血行が悪くなりしもやけになりやすくなります。
特に、しもやけになりかけた時にうっ血すると、血行が悪くなり、しもやけを悪化させてしまいます。
そして、ストレスをためないことです。
ストレスは、末梢の血流を悪くします。
そうなると、体の体温調整機能が気温の変化に対応できずに、うっ血を助長させてしまいます。
ストレスをためないようにするためには、体の深部体温を高くする、すなわちおなかが冷えないようにすることです。
おなかが冷えると交感神経が優位に働き、ストレスに対して過剰に反応しやすくなります。
ですが、おなかが冷えなければ、ストレスに対して柔軟に対応できるようになります。
これらのことが「しもやけ」の予防法です。
もし「しもやけ」になってしまったら?
そこで効果的なのが「足湯」です。
お湯の温度は「少し熱いかな?」と思うぐらい、約40℃ぐらいでいいと思います。
末梢の血管を広げるのであれば熱くない程度の方がいいのですが「少し熱い」ぐらいの温度にするのには理由があります。
基本的に温めると末梢血管は広がります。
ですが、熱いお湯に浸かると逆に血管が縮まってしまいます。
これは、皮膚が熱いお湯に反応して交感神経が優位になるためです。
「少し熱い」お湯に浸かることで、一時的に血管を縮めることができます。
そうして、浸かっているうちに適温になり、副交感神経が優位になり、末梢血管も広がってきます。
これにより、異常をきたした体温調整作用を正常な反応に戻すことができます。
はじめに、血管を縮めてからの方が血行が良くなるのは、そのためです。
足湯によって、血管を拡張させ、うっ血を改善できれば、しだいに「しもやけ」も改善することができます。
Karakoroチャンネル おしえて大田先生『しもやけ』
もし、足湯をしても改善できないのであれば、医療機関を受診することをおすすめします。
しもやけに似た症状の病気もあるからです。
下に、類似疾患と注意すべき基礎疾患を記載いたします。
【類似疾患】
- 全身性エリテマトーデス
- シェーグレン症候群
- レイノー病、レイノー現象
- クリオグロブリン血症
- サルコイドーシス
- 白癬(水虫)
【注意すべき基礎疾患】
- 糖尿病
- 閉塞性動脈硬化症
これらの疾患がなければ、
- 血管拡張薬内服
- ヒルロイド軟膏
- ビタミンEの外用および内服
により血行を拡張させるか、
- ステロイド外用薬
により、炎症を抑えたりや痒み止めたりするなどの処置が施されるのが一般的です。