年齢を重ねるごとに肩がこったり腰が痛くなったりなど、体の不調を感じるようになります。
「年だから仕方がない」と思われるかもしれません。
けれど、年を取ると体の不調を感じるようになるのでしょう?
ですが「最近は小学生でも肩こりになる」という話も耳にします。
どういうことなのでしょう?
加齢が原因であれば、小学生で肩がこるはずがありません。
このように考えると、肩が凝るのは単に年齢的なことではないように思います。
では、なぜ肩がこるのか?
肩こりの原因
肩こりの原因は、肩の筋肉の疲労と血行不良です。
なので、肩の筋肉を動かして血行を良くすれば、肩こりの症状は解消されます。
マッサージで肩こりが解消できるのは、そのためなのですが、その効果は一時的でしかありません。
なぜかと言いますと、肩の筋肉に負担をかける原因となる「体の歪み」を改善できないからです。
肩こりの原因の多くは「体の歪み」によるものです。
年齢とともに肩こりを訴える人が多くなるのは、加齢とともに体の歪みが強くなるからです。
体の組織を悪くしてしまったら大変なことになります。
そうなる前に、体はシグナルを出しています。
このシグナルこそが、肩こりという不快な症状の正体です。
体の歪みを知らせるシグナル「肩こり」
何も不調を感じることなく病気になる人は少なく、多くの人が肩こりを経験しているはずです。
なぜかと言いますと、肩という場所は体の不調を敏感に感知しやすい場所だからです。
肩を動かす筋肉につながる副神経は、脳から直接出ています。
副神経は、僧帽筋という肩の筋肉と胸鎖乳突筋という首の筋肉を動かします。
これらの筋肉が常に働き肩に力が入る状態でいると猫背になり、体のバランスが悪くなり体の歪みが強くなります。
猫背の姿勢は頭と肩が前に出た姿勢ですので、その姿勢を続けると、首の筋肉と背中の筋肉に負担がかかります。
それはどのような負担かと言いますと、筋肉が伸ばされた状態で筋肉を縮めようしている状態です。
そのような筋肉の収縮を伸張性収縮といい、筋肉にとって一番負担がかかる状態なのです。
そのような状態が慢性的に続くと、筋肉が疲労して筋肉が正常に機能しにくくなります。
血液の循環は筋肉が伸縮することによって行われますので、筋肉が伸縮しなければ血行も悪くなり、生命活動もうまくいかなくなり、そのことが万病の元となります。
その状態を真っ先に教えてくれるのが、肩こりなのです。
【関連記事】肩こり(人はなぜ肩がこるのか?)
腰痛の見えない原因《腸腰筋》
腰痛には、さまざまな原因があり、決定的な治療法もなく長く患われる人も多いかと思います。
腰の筋肉の問題だったり、骨盤の歪みだったり、腰の神経の問題だったり、さまざまな原因があります。
月〈ニクズキ〉に要〈かなめ〉と書いて腰というように、腰は体の要になり、腰が痛いと体全体の動きに大きく影響します。
なので、腰がつらいと体を動かすのも億劫になるものです。
なかなか改善されない腰痛を抱える人に共通したことがあります。
それは、
- 股関節が硬い
ということです。
股関節のまわりには多くの筋肉が着いていて、骨盤と脚とをつないでいます。
そのなかに、腸腰筋という体の内側を通り腰と脚とをつなぐ筋肉があります。
腸腰筋は腰痛改善の重要なポイントになる反面、アプローチすることが難しい筋肉でもあります。
左右の腸腰筋の張りのバランスが崩れると骨盤が傾いてしまいます。
そのことが、さまざまな体の不調の原因になり、慢性的な腰痛もその一つです。
腸腰筋のバランスが崩れることで骨盤が傾き、骨盤の上に乗っている背骨や胸郭、頭も傾きます。
体を支えるためにバランスを取り続けようとして、腰や背中、肩や首の筋肉を緊張させてしまいます。
そうすると、筋肉の緊張状態が長く続き、筋肉が疲労し血行が悪くなります。
腰は体の中心で、上半身を支える所でもあるので、腰に大きな負担がかかりやすく、腰の筋肉に負担がかかり腰痛になるのです。
さらに腸腰筋の張りのバランスが悪くなると股関節や膝関節のアライメントが悪くなり、股関節や膝関節に負担をかけてしまいます。
そのことによって関節が変形し、関節の痛みを引き起こす原因ともなります。
関節の変形が起こると二度とは戻りません。
なので、そうなる前に関節の変形を引き起こす原因となる股関節まわりの筋肉の張りのバランスを整える必要があるのです。
体の歪みの原因
体の歪みは、筋肉の張りのアンバランスが原因です。
なので、骨格を矯正してもらっても、マッサージで筋肉を緩めてもらっても改善されません。
私は、元々指圧師だったので肩こりや腰痛の方を多く診てきました。
ですが、その多くは症状がなくなっても数日後には再度症状が現れるの繰り返し。
それはなぜなのだろう?
と常日頃から疑問に思っていました。
そうして、臨床経験を積み上げていく過程で
「体の歪みは、日常生活を記憶する脳のプログラムによるものでは?」
という考えを導き出しました。
脳には、日常生活の動作と生活空間が記憶されています。
日常生活の動作と日常生活空間を記憶する脳のプログラムによって、骨と骨とをつなぐ筋肉の張りのバランスが崩れることで体が歪むと考えます。
なぜならば、筋肉の働きを司る脳のプログラムによって、脳と筋肉をつなぐ神経を介して筋肉に待機信号を送り続けているからだと考えられるからです。
さらに、何年も同じ動作を繰り返すことで体の動きが限定されしまうと、体の歪みの固定化が進み、体幹部が重力に押し潰されてしまいます。
このことで、体幹部(背骨・肋骨)の動きが悪くなります。
そうなると、体幹と腕や脚とをつなぐ肩関節や股関節の位置(アライメント)が狂うことで関節をまたぐ骨の動きが悪くなり、骨と骨とをつなぐ筋肉が過緊張状態になって血行が悪くなります。
これらのことによって、身体機能が低下する。
これが、肩こりや腰痛の原因だったのです。
加齢と共に、さまざまな痛みが出たり、体の不調、身体機能の低下を訴えるのは、そのためです。
身体のバランスを整える脳のプログラム
体の歪みの原因が、
「日常生活を記憶する脳のプログラム」
によるものだとすれば
「身体のバランスを整った状態を脳にインプット」
することができれば、
「体の歪みを改善することもできる!」
と考えました。
そこで、指圧の手法やリハビリの手法をベースにヒーリングや呼吸法、東洋的身体動作法を検証し、試行錯誤の末に
- 骨と骨とをつなぐ筋肉の張りのバランス
- 日常生活を記憶する空間意識®のバランス
を整える動作を脳にインプットする方法として構築したのが、脱力調整法「大田式調整動作®」です。
「身体のバランスを整える脳のプログラム」をインストールする(覚える)ことで、重力に押し潰されない身体を作ることができます。
そして、身体が本来、備わっている身体調整作用がよみがえります。