· 

徒歩通勤①(身体軸)

私は、病院に勤務していた時、約2年間徒歩通勤を続けていた。

 

徒歩と言っても片道6キロほどあり、1時間弱で歩いていた。

 

時速にすれば、約6キロ強のやや早足で歩いていたことになる。

 

それを往復。

 

巷の常識では、ウォーキングでは筋肉が肥大しないなどと言われているが、体の使い方次第ではある程度の筋肥大は期待できる。

 

実際に、腹筋は常に割れ、太もも特にハムストリングスが顕著に肥大していた。

 

ハムストリングスは、膝を曲げる屈筋であるが同時に股関節を伸展(太ももを後ろに動かす)する時に使う筋肉だ。

 

ハムストリングスが鍛えられれば、体を前に進める力すなわち脚力が向上し、しかも予備動作のないフットワークを可能にする。

 

予備動作のいらない動作においては、無くてはならない筋肉であることは確かだ。

 

しかし、ただ漠然と歩いているだけではハムストリングスの筋肥大は期待できないだろう。

 

そして、巷で言われる

  • 有酸素運動による脂肪燃焼
  • ウエストの引き締め

なども期待できない。

 

これらの効果をもたらすためには、常に歩く動作に意識を向けなければならない。

 

まず第一に、

  • 身体軸

を保ちながら歩くこと。

 

身体軸の説明は、「身体軸について」のページなどで詳しく説明しているので、ここでは割愛する。

 

常に身体軸がブレないように意識するだけで、全身の骨格が連動して動き、バランスよく筋肉をつけることができる。

 

しかし、徒歩通勤をはじめた当初は、身体軸を形成するために数十分ほど時間がかかった。

 

なぜならば、身体のアンバランスが顕著だったからだ。

 

それでも、身体軸を形成するように意識し続けて歩くうちに全身の骨格の動きのバランスが良くなり、身体軸を形成することができた。

 

歩くという動作は、両足を交互に前に出すだけだと思われがちだがそうではない。

 

背骨が左右にうねることで行われるのだ。

 

であるため、背骨の歪みが強ければうねる動きもギクシャクしてしまい、それが足の運びに強く影響する。

 

そもそも身体軸とは、背骨自体ではない。

 

全身の骨の垂直抗力のラインである。

 

この抗力のラインが背骨まわりを通るのが身体の構造として理想となる。

 

しかし、体の歪みが強ければ背骨まわりに抗力のラインを形成することができない。

 

その状態で、体を動かそうとするならば筋出力を過剰に加えなければならない。

 

このことを繰り返せば、一部の筋肉や関節に大きな負荷がかかる。

 

このシグナルとなるのが「肩こりや腰痛」である。

 

そして、実際に筋肉や腱が損傷してしまうのが「五十肩や腱鞘炎、テニス肘、ぎっくり腰や膝痛」であり、骨格の歪みによって神経が圧迫されることで起こるのが「腰椎椎間板ヘルニア、頸椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症」などである。

 

さらに、関節が損傷し変形してしまうのが「変形性膝関節症や変形性股関節症」などである。

 

これらの症状は、骨格の歪みが原因ではなく、骨格の動きのアンバランスによって引き起こされてしまうのだ。

 

これらの症状を防ぐためにも抗力のラインを背骨まわりに通すことが大切となる。

 

身体軸を形成するには歩くというリズミカルに連続して行う動作が適している。

 

しかし、ただ漠然と歩いているのでは身体軸を形成することができない。

 

よくよく自身の身体の動きに意識を向け、動きのバランスを整えることを心がける必要がある。

 

そうしたことを数十分続けるうちに、身体軸を背骨に通すことができる。

 

身体軸を背骨のまわりに通すことができると

  • 体調が良くなり
  • 頭の回転が良くなり

するなどの効果が伴うことに気がついた。

 

当時は、リハビリの仕事を行っていたが、患者さんの動きを観察力が上がったり、手技のレベルをあげることもできた。

 

そして、疲れにくくなった。

 

さらに、アイデアが浮かぶようになり柔軟な発想をすることができるようにもなった。

 

大田式調整動作®︎も徒歩通勤の際に浮かんだアイデアをもとに構築したと言っても過言ではない。

【参考記事】大田式調整動作®︎とは

 


徒歩通勤で得ることができものは身体軸だけではありませんでした。

 

次回の投稿「徒歩通勤②(空間意識®︎)」もご覧ください。