前回の記事「前職の新人教育での経験談①「可動域訓練(ストレッチ)の指導」の続きです。
病棟の患者さんの可動域訓練をし終えた後、時間の合間を縫ってマッサージの指導を行った。
私もマッサージ(揉む)の手技は使ってはいたが、指圧が専門であったため、マッサージの基本だけは他のスタッフにもお願いして見てもらっていた。
専門学校時代にマッサージの実技は行なっているので基礎はできていた。
だが、病院で行われていたメインの方法は鹿児島の盲学校系の手技だったため学校では習っていない。
私も、この病院に入ってから鹿児島の盲学校系の手技を習った。
それまで知っていたマッサージの手技は、アルバイト先の東京の盲学校出身の先生からと指圧学校で習ったマッサージの手技であったが、それらとはまた違う手技であった。
この手技は、私が習った手技よりも当たりが柔らかく、体に優しいものであった。
あと、関節の動きを滑らかにする手技もあるのだが、その手技の基本も私が習った先生にもお願いしていた。
手技の動きが馴染んできたが、何故だか動きのぎこちなさが取れない。
理由がわかった。
体の使い方を過剰に意識してしまっていたためだ。
そこで、私が初めて手技に対してアドバイスを行った。
慣れないうちは、手の使い方や体勢などを体で覚えさせることが大切である。
だが、体が馴染みはじめても手の使い方や体の使い方を教え続けることは良くない。
その段階になったら、アプローチする筋肉や関節に意識を向けさせるように指導する。
そのように意識を向けさせれば、ぎこちなかった手技が滑らかになるのだ。
そう、体の使い方と実際の動作とは分けて指導しなければならないのだ。
だが、多くの指導者や生徒は必要以上に体の使い方に執着してしまう。
そこで、私が「次は指圧を教えたいので、今度は私がメインで教えます」他の先生方に伝えた。
他の先生方も、快く任せてくれたので、その後は手技も私が教えることとなった。
また、新人さんは「指圧を覚えたかった」ようで指圧学校出身の私とは相性が良かった。
鍼灸マッサージでも指圧の授業はある。
しかし、指圧の専門学校で教わった方法とは押し方が異なる。
私は、専門学校で習った方法を教えることにした。
その当時、私自身は、業務では指圧の手技とは異なる方法を使っていた。
だが、身についたものは忘れることはない。
鍼灸マッサージの専門学校で習った方法との違いに、はじめは戸惑っていたが、次第に感を掴んできた。
指圧は「指に体重を乗せるように押す」と認識されているだろう。
しかし、そうではない。
もちろん、体重は利用する。
ただ、体重を乗せるのではない。
体重を利用して、目的となる施術点に圧を浸透させるのだ。
新人さんが鍼灸マッサージの専門学校で教わっていた方法は、体重を乗せる方法であった。
ただ、指圧も形骸化しており、指圧の専門学校で教鞭を取っている先生方から教えてもらた方法も体重を乗せる方法でした。
では、なぜ指圧とは「圧を浸透させる」手技だと理解できたのか?
次回の記事「前職の新人教育での経験談③」で書きたいと思います。