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新しいカタチのストレッチ①(身体調整のためのストレッチ)

ストレッチというと「リラックス」というイメージがあるかもしれません。

 

ですが、必ずしもそうではありません。

ストレッチには、

  1. 可動域を高めるためのストレッチ
  2. 筋肉と神経の機能を高めるストレッチ
  3. 身体調整のためのストレッチ

の3つの種類があります。

 

一般的に行われるストレッチは、静的なストレッチ(static stretch)と呼ばれているものです。

 

運動の後のクールダウンに行われることが多いため、リラックスをイメージさせるストレッチです。

 

ですが、このストレッチにはリラックス効果は少なく、やり方を間違えればかえって体の緊張を強くしてしまいます。

 

このことについては、以前の記事「過度な運動の弊害①(ストレッチ)」で述べました。

次に、動的ストレッチ(dynamic stretch)があります。

 

動的ストレッチは、小刻みにリズミカルに筋肉を伸ばしていくストレッチで、競技などではウォーミングアップに良いと言われています。

 

静的なストレッチを競技前に行うと競技のパフォーマンスが落ちることが知られています。

 

その理由として、静的ストレッチでは主動作筋(骨を動かす筋肉)の働きが弱くなると言われています。

 

それに対して、動的ストレッチは主動作筋を使って拮抗筋(骨を動かす際に緩む筋肉)が伸ばす方法であるため、主動作筋が働き、動作への反応を落としません。

 

主動作筋を使うため拮抗筋が緩みやすくなり、筋肉の緊張を解く効果も期待できます。

 

3つ目が、身体調整のためのストレッチです。

 

静的なストレッチに身体調整の効果を期待してしまう感があります。

 

静的なストレッチによって可動域を広げる効果を期待したものだと思います。

 

ですが、静的なストレッチには身体調整の効果は期待できないというのが大田式調整動作の見解です。

 

その理由として、静的ストレッチでは可動域の拡大を期待できないことが挙げられます。

 

なぜならば、静的ストレッチでも伸張反射が起こってしまうからです。

 

伸張反射は、侵害刺激反射の一種で筋肉が過度に伸ばそうとした時に縮むことで筋肉の過伸展を防ごうとするものです。

 

以前は、伸張反射はある程度のスピードが必要だと言われており、ゆっくり伸ばせば伸張反射は起こさないとも言われていました。

 

ですが、実際にはゆっくり伸ばしても伸張反射が起こり、拮抗筋の収縮が見られます。

 

試しに、長座体前屈で前屈をゆっくりとしてみると、ある程度伸ばしていくとハムストリングスの緊張が強くなり、それ以上前屈することができません。

 

仮に、ゆっくりと伸ばせば伸張反射を起こさないとしたら、時間をかければ可動域が広がるはずです。

 

ですが、実際にはそうはなりません。

 

なので、静的なストレッチでは身体調整にはならないのです。

 

では、ストレッチによる身体調整とは、どのようなものでしょうか?

 

その例として挙げられるのが、デスクワークをしている時にグーと背筋を伸ばしたくなる無意識の反応です。

 

これは、前屈みになった身体に対して、背筋を伸ばすという逆の動作を行うというものです。

 

これこそが、ストレッチによる身体調整なのです。

 

この時、静的ストレッチのようにゆっくりと可動域を広げようという動きは伴いません。

 

あくまでも、自身の相反抑制の働く範囲内で留まっています。

 

ただ、意識的に身体調整を行うとすることは一般的にはできないでしょう。

 

これには、特別な方法が必要となります。

 

それらを体系化したのが「大田式調整動作」の身体調整のためのストレッチ法です。

ですが、身体調整のためのストレッチでは可動域を広げることはできません。

 

それは、大田式調整動作であっても例外ではありません。

 

可動域を広げることは不可能なのか?

 

可能ですが、コツが必要です。

 

次回の記事で、可動域を広げるためのストレッチに述べていきたいと思います。