私は元施術者ですが、施術に通う理由となっている肩こりや腰痛に対しては「施術は無意味に近い」と思っています。
もちろん、施術を行った方が良いケースもありますが、そのような例は多くなく、関節の動きの調整と、一時的な血行促進や内臓機能促進などのような場合です。
肩こりや腰痛を改善したいと思ったり、健康のためであれば、まず、運動不足を解消する。
そうすれば、筋肉が働き、末端に溜まった静脈血が心臓へ押し出されて血行が良くなります。
なので、全身を隈なく動かすような体操やウォーキングを行った方が断然良いです。
では、どのような運動が良いのでしょう?
スポーツでも筋トレでもストレッチでもウォーキングでもなんでも構いません。
体を動かすことで血行が良くなり、あと運動によって脳内ホルモンのバランスが良くなり、精神的に良い効果があります。
ですが、何事もほどほどにです。
スポーツにしても筋トレにしてもストレッチにしても熱心に行うのは良いのですが、のめり込みすぎには注意です。
スポーツの場合、左右がアンバランスになりやすいことと、勝負事なので、勝つにしても負けるにしても精神的なストレスが大きくかかるというデメリットがあります。
では、ストレッチなどのように争わないようなエクササイズはどうでしょう?
スポーツのような精神的なストレスが大きくなく、左右均等に行うので運動として行うには良いと思います。
ですが、リラックスのイメージが強いストレッチですが、やり方を間違えるとかえって緊張を強くしてしまい、身体的にも精神的にもストレスを強くしてしまう恐れがあります。
そのためか?ヨガなどのインストラクターなど、熱心に行っている人の中には、腰痛や足の付け根の痛みを抱えている人が意外に多いと聞きます。
その理由とは、過度に筋肉を伸ばして(ストレッチ)可動域を広げようとする動作が多いことにあります。
筋肉には、伸張反射という生理反射があります。
簡単に言うと、筋肉が伸びるのに対して縮もうとする反射のことです。
例えるならば、伸ばしたゴムを離したら、すぐに縮もうとすることに似ている。
(ただ、似てはいるが原理は異なる)
これは、筋肉が過剰に伸ばされることでちぎれないようにする防衛反応であり、それは脊髄を介して行われています。
ゆえに、無意識のうちに行われる反射であり、意識することはできません。
頑張って伸ばそうとすればするほど、体が縮む。
これが、ストレッチの問題点です。
例え、ゆっくりと伸ばしてもしても。
一生懸命に筋肉を伸ばしているのに「なかなか柔らかくならない?」と悩んでしまうのは、このような理由からです。
このことによって筋肉の緊張が強くなり、かえって体が硬くなります。
そうしたら、血行が悪くなってしまいます。
そのことよりも、深刻な問題があり、それは関節へのダメージです。
通常、筋肉の伸張反射によって筋肉のみならず関節も守られています。
なので、関節を痛めることは滅多にありません。
ストレッチを熱心に行うと緊張が強くなるのも、体の防衛反応によるものです。
しかし、人間とは不思議なもので、修練によって不可能だと思われる動作でもできるようになります。
その理由は、その動作を脳にプログラムされるためです。
このことで、動作のブレーキとなる拮抗筋の伸張反射を起こさなくなります。
ヨガの愛好者が、一般人には考えられないようなポーズを取ることができるのは、そのためです。
ですが、身体の構造を理解せずに修練を続けたとしたら。
その結果、関節に負担を強いる不自然な動作が記憶してしまったら?
伸張反射による筋肉の防御が働かないため、関節が無防備状態になります。
そうなると、ダイレクトに関節に負担がかかってしまいます。
筋肉の損傷であれば、筋肉の回復すれば治癒できます。
しかし、関節自体が損傷されればそういうわけにはいきません。
関節の自然治癒というのは不可能に近いのです。
医学的処置としては、損傷が激しければ人工関節という選択になるでしょう。
ですが、ある程度の損傷であれば、人工関節への置換は行われません。
なぜならば、どのような状態であれ、生まれ持った関節の滑らかさには敵わないからです。
今の最先端の技術を持ってしても生物の関節に勝る関節を作ることなどできないのです。
修練により覚えた動作が骨格構造に沿った動きであれば良いのです。
ですが、そうでない場合、関節そのものを傷つけてしまいます。
なので、ストレッチなどの動作を熱心に行うのあれば、身体についての勉強は必要だと思います。
あと、身体感覚を磨き、無理をしないように意識を向けていくことも大切だと思うのです。
次回は、過度の筋トレによる弊害について述べていきたいと思います。